今日から始めるモバイル決済

100億円還元でナンバーワンの決済サービスへ PayPayが大攻勢を開始

» 2018年11月22日 17時49分 公開
[田中聡ITmedia]

 「ユーザー数と店舗数の双方でナンバーワンを目指す」――PayPayの中山一郎CEOは、そう高々と宣言する。PayPayは10月5日に始まったばかりのコード決済サービスだが、ソフトバンクグループの資金力を生かし、ユーザーに総額100億円相当ものPayPayボーナス(電子マネー)を還元する、大規模なキャンペーンを打つ。

PayPay 20%還元をはじめとした、総額100億円を還元するキャンペーン
PayPay この大規模キャンペーンを契機に、ユーザー数も店舗数もナンバーワンを目指す

 「100億円あげちゃうキャンペーン」と銘打つこのキャンペーンでは、PayPay支払い額の20%を還元する他、40回に1回の確率で支払額の全額を還元する(ソフトバンクとY!mobileのユーザーは、この確率がさらに高くなる)。中山氏はキャンペーンの狙いについて「新規ユーザー獲得と利用促進」と話し、「ユーザーが増えると加盟店が増える」という相乗効果を図る。同氏は「PayPayを使わないと損だと言い切れるキャンペーンだ」とアピールする。

 キャンペーン期間は2019年3月31日まで。還元額が100億円を突破した時点で終了となるが、20%が(実質的に)キャッシュバックされるのは大きい。例えばライバルの決済サービス「LINE Pay」の「カラー」プログラムでは、カラーによって0.5〜2%が還元されるのに加え、3%の上乗せキャンペーンを実施しているが、それでも還元率は最大5%(これでも大きい方だが)。

 20%還元の上限は月に5万円までで、月に25万円までの決済は全て20%引きとなる。25万円までなら、高額の買い物をすればするほど、たくさんのPayPayボーナスがたまるというわけだ。

 一方、いくらお得なキャンペーンでも使える店舗が少なければ魅力は半減してしまう。そこでこのキャンペーンに合わせ、全国のファミリーマート1万7000店でPayPayを導入する。ファミリーマートの増田貴司社長は「2000店舗でPayPayのキャラバンを実施し、PayPayを思いっきりプロモートする」と支援する考えを明かす。

PayPay PayPayが利用できる大型店やチェーン店【追記:2018年12月6日15時46分 掲載店舗は対応予定のものも含まれる。またウェルシアや松屋など、2019年春の対応を予定している店舗もある】
PayPay 12月4日からファミリーマート2000店舗でPayPayのキャラバンを実施
PayPay 2019年1月8日からはファミリーマート全店でPayPayを告知する

 他に、大手ではH.I.S.、エディオン、ジョーシン、ビックカメラ、コジマ、ソフマップ、ヤマダ電機、ポプラ、ミニストップ、松屋、ウェルシアなどへの導入も決まっている。PayPay担当者によると、他のコンビニへ拡充することも視野に入れているそうだ。

 ただし、現時点でのPayPayの加盟店数や、キャンペーンによってどこまで店舗を増やすかの目標値は公表していない。LINE Payでは、2018年中に100万店舗まで拡大することを目標に掲げているが、ナンバーワンを目指すには、この「100万」は超えなければいけない壁だ。

 発表会ではソフトバンクの榛葉淳副社長兼COOとヤフーの川邊健太郎社長も登壇し、PayPayを、ソフトバンクグループが総力を挙げてもり立てていくことを強調した。また、ソフトバンクショップとY!mobileショップでもPayPayを紹介していくという。榛葉氏は「一気呵成(かせい)に日本一の決済カンパニーとして育てていきたい」と意気込む。川邊氏は「Yahoo!とソフトバンクだからこそできる仕事だと思っている。もう1つのYahoo! Japanを作る意気込みでやっていきたい」と語った。

PayPay 前列左から、ヤフー川邊氏、PayPay中山氏、ファミリーマート増田氏、ソフトバンク榛葉氏。後列は、PayPay対応店舗の担当者

 今回のキャンペーンは確かにものすごいインパクトだが、このキャンペーンが終わった後にどんな施策を打っていくかは「白紙」(中山氏)。キャンペーン期間中だけPayPayを使い、キャンペーンが終わったら、より素早く決済できる非接触決済サービス(Apple Payやおサイフケータイなど)に戻る人が出てくることは想像がつく(筆者もそうなりそう)。また中山氏によると、PayPayが非接触決済サービスを採用する予定はないとのこと。この点は、QUICPayを取り入れたLINE Payとは対照的だ。

 グループの強みを生かすとしたら、ソフトバンクとY!mobileのユーザーに対し、いかにお得さを継続して打ち出せるか、そこから全ユーザーにどう広げていくかが鍵を握る。

 PayPayではアプリの機能拡充も進めており、11月21日にはPayPayユーザー同士でのPayPay残高の個人間送金(厳密には送金ではなくポイントの送付)にも対応した。また、対応店舗のマップ機能では、店舗名だけでなく、どんな業態の店舗かも表示可能にする予定。

PayPay PayPayのポイント送付にも対応
PayPay 近くのPayPay対応店舗が分かるマップも改善していく

ニュース解説番組「NEWS TV」で記事をピックアップ

ITmedia NEWS編集部がYouTubeでお届けするライブ番組「ITmedia NEWS TV」で、この記事を取り上げています。ぜひ視聴・チャンネル登録をお願いします。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  5. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  6. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  7. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年