今日から始めるモバイル決済
連載
» 2019年04月06日 06時00分 公開

石野純也のMobile Eye:後発だが勝機あり? スマホ決済「au PAY」の狙いと課題 (1/3)

4月9日にスタートする「au PAY」は、キャリアとして最後発になるQRコード決済。FeliCaなどの非接触決済と比べ、導入が容易なことから、キャリア以外からもさまざまなプレーヤーが参画している。あえてKDDIがau PAYを開始する勝算はどこにあるのか?

[石野純也,ITmedia]

 KDDIが、4月9日に「au WALLET」アプリをリニューアルし、QRコード決済の「au PAY」を開始する。キャリアとしては、ドコモの「d払い」や、ソフトバンク・ヤフー連合の「PayPay」に続いた格好で、楽天やメルペイなど、QRコード決済で先行する事業者と提携関係を結んでいるのも特徴だ。このリニューアルに合わせて、4月15日から、ポイントのチャージを10%増額するキャンペーンを実施。あわせてau PAY利用時に、最大で26.5%のポイント還元を実施していく。

 au PAYは、キャリアとして最後発になるQRコード決済。FeliCaなどの非接触決済と比べ、導入が容易なことから、キャリア以外からもさまざまなプレーヤーが参画しているのは周知の通りだ。あえてKDDIがau PAYを開始する勝算はどこにあるのか。今回の連載では、au PAYのサービス内容を振り返りながら、その狙いや、今後の課題を解説する。

au PAY 4月9日にスタートする「au PAY」
au PAY 発表会には、CMキャラクターを務める桐谷健太さんや菅田将暉さんが駆け付けた

後発ながら店舗数は充実、キーワードは「脱・埋蔵ポイント」

 QRコード決済は、その手軽さから、幅広い事業者が参画しており、「何とかPay」という名称のサービスは、まさに百花繚乱(りょうらん)の状態だ。メジャーなところでは、ソフトバンクとヤフーが合弁で設立したPayPayや、LINEのLINE Pay、楽天の楽天Pay、メルカリのメルペイなどがあり、キャリアもドコモがd払いを提供している。キャリアという枠組みを外して見ても、KDDIのau PAYは後発といえる。au PAYを担当したKDDIのライフデザイン事業本部 新規ビジネス推進本部 副本部長の中井武志氏も、「いろいろと検討した結果、実態として後発になっている」と認める。

au PAY au PAYのサービス内容や狙いを解説したKDDIの中井氏

 その一方で、まだQRコード決済の勝者が見えていないのも事実だ。2月に開催された金融持株会社設立の発表会では、高橋誠社長が「そんなに多くのトランザクションが走っているわけではない」としながら、「確かに後発といわれるかもしれないが、そこまで遅れているわけでもない」と語っている。また、各社がユーザー獲得や利用促進のためのキャンペーン合戦を繰り広げた結果、「キャッシュレス熱が徐々に盛り上がってきている」(中井氏)と、QRコード決済に対する認知度も上がりつつある。今からでも参入する余地は十分あるというわけだ。

au PAY 2月には高橋社長がQRコード決済の現状を分析。まだ市場は黎明(れいめい)期で、十分な勝機があると語った

 ただ、楽天PayやLINE Payなど、早くから事業を展開してきた事業者は、加盟店の数でもリードしている。ユーザー以上に、こちらは獲得に時間がかかる。これを解決するため、KDDIは楽天やメルカリといった既存事業者と提携。両者が開拓してきた加盟店に相乗りすることで、「2019年度早々に、スマホ決済で100万カ所(の達成)を目指していく」(中井氏)という。高橋氏も、「われわれはレジベースで何百万と数字を積み重ねるのではなく、あくまでスポットベースで100万を目指す」と語っていた。

au PAY
au PAY
au PAY 楽天Payやメルペイの加盟店を活用しつつ、食べログと共同で飲食店を開拓する

 加盟店の開拓に関しては、食べログとも連携。飲食店に、au PAYの導入を進めていく。こうした対策の数々が功を奏し、au PAYは開始当初からさまざまな業種の加盟店を獲得できている。発表された店舗名は拡大予定のところも含んでいるが、大手コンビニエンスストアや家電量販店などはかなりカバーできるように見える。後発とはいえ、使える場所が限定的にならないのは、ユーザーにとっても魅力といえる。

au PAY 2019年度早々に、利用可能な店舗を100万カ所まで増やす

 また、au PAYは新規サービスではあるが、財布ともいえる残高はau WALLETを活用する。これは、物理カードやApple Payのau WALLETプリペイドカードと、残高が共通していることを意味する。チャージはau WALLETポイントからでき、このポイントと現金相当の残高を合わせた額は、「1000億円を超えるところまできている」(KDDI 取締役執行役員専務 コンシューマ事業本部長の東海林崇氏)という。中井氏によると、内訳は1000ポイント以上残高のあるユーザーが1400万超、1万ポイント以上が100万超。これらのユーザーの「埋蔵ポイント」を消費させるのも、au PAYを導入した目的の1つだ。

au PAY au WALLETプリペイドカードと同じau WALLETの残高を活用する。au PAYは、あくまで複数ある決済インタフェースの中の1つという位置付けだ
au PAY ポイント残高が1000億円を超えることを強調した東海林氏

 PayPayのように、ゼロから立ち上げたサービスの場合、ユーザーの残高も0円からスタートする。そのため、利用を促すためのボーナスをつけるのが一般的だ。一方で、au WALLETの残高をそのまま使えるau PAYの場合、このようなキャンペーンを行う必要がなく、コストを抑えながらスタートダッシュを切れる。ポイントは、auのサービスを使っていると自動的にたまるため、継続的に利用される可能性もありそうだ。これは、通信契約とひも付いているからこそのメリットといえる。チャージにはキャリア決済を使えるため、クレジットカードなどの登録を必要とせず、ユーザーが利用する上でのハードルも低くなる。

au PAY
au PAY 残高は既に1000億円強あり、1万ポイント以上を保有するユーザーも100万人を超える
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia Mobile に「いいね!」しよう