ソフトバンクは4月25日、無人航空機(UAV)を手掛ける米AeroVironmentと設立したジョイントベンチャー「HAPSモバイル」を通して、成層圏通信プラットフォーム「HAPS(High Altitude Platform Station)」を活用した事業を展開すると発表した。
HAPSは、成層圏に無人航空機を飛行させることで基地局のように運用し、広域のエリアに通信サービスを提供できるシステム。ソフトバンクはHAPSを活用することで、山間部や離島、発展途上国などの通信ネットワークが整っていない地域でも、安定した通信環境を構築できるという。
HAPSモバイルは成層圏通信プラットフォーム向けに無人航空機「HAWK30」を開発した。全長は約78mあり、ソーラーパネルを搭載した翼には10個のプロペラを備えている。時速約110kmで飛行する。
4月25日に都内で開催された記者発表会では、HAWK30を開発した理由についても語られた。東日本大震災ではソフトバンクの基地局が長らく復旧しなかったこともあり、気球を使った基地局などを研究してきた。気球基地局は、半径10kmの広範囲なエリアをカバーできる一方で、風に弱いという課題もあった。気流が安定している成層圏に基地局を搭載した無人航空機を飛行させることで、こうした問題を解決できるという。
HAPSモバイルは研究開発やフライトテストを実施し、2023年ごろにHAWK30の量産化およびサービスの提供を目指す。
これに向けて、HAPSモバイルと米Alphabet子会社のLoonが協業する。Loonは高度数千メートルを飛行する機体と通信システムを開発済みで、既に3000万km以上の飛行実績や、世界で数十万ユーザーが接続した実績を持つ。HAPSモバイルとLoonは、両社の機体を相互利用したり、通信ネットワークインフラを共用化したりすることを検討している。HAPSモバイルはLoonに1億2500万ドルを出資し、今後はLoonもHAPSモバイルに同額を出資できる権利を有する。
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