問題発生時は「事後対応」を基本に――データ通信の「ゼロレーティング」 ルール作りが本格化(1/4 ページ)

» 2019年07月14日 07時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 携帯電話のデータ(パケット)通信のうち、特定のアプリやサービスに関するものの課金を免除(無料)とする「ゼロレーティング」サービス。日本でもこのサービスに対応するプランやオプションを提供する通信事業者が増えている。

 しかし、日本ではゼロレーティングについて法令上の整理がなされていない。そこで総務省は「ネットワーク中立性に関する研究会」において議論を実施。ゼロレーティングに関するルールを検討すべく同研究会傘下に「ゼロレーティングサービスに関するルール検討ワーキンググループ」を設置した。

 ゼロレーティングサービスのメリットと課題はどこにあるのか。そしてその法令上のルールはどのような方向性となるのか。分かりやすく解説する。

(特に断りのない限り、この記事では大手キャリア(MNO)とMVNOをまとめて「キャリア」と呼ぶ)

構成員総務省など 「ゼロレーティングサービスに関するルール検討ワーキンググループ」の第1回会合(7月8日開催)の開始直後の様子(左が構成員側、右が総務省やオブザーバーとなる関係省庁の関係者側)

ゼロレーティングサービスの現状とメリット

 先述の通り、ゼロレーティングサービスは特定のアプリやサービスに関するデータ通信に課金をしないことが特徴だ。

 日本では2015年、NTTコミュニケーションズがMVNOサービス「OCN モバイル ONE」においてゼロレーティングサービスを導入。この時は自社で提供する一部のサービスが対象だったが、2018年4月から一部の音楽ストリーミングサービスもゼロレーティングに加えるオプションサービスを試験提供。8月からは事前申し込みの必要な無償オプションとして本サービスに格上げされた。

 現在では、他の一部MVNOでもSNSや音楽・動画ストリーミングサービスをゼロレーティングとするプランやオプションを提供している。さらに、MNOでも、2018年9月にソフトバンク、2019年6月にau(KDDIと沖縄セルラー電話)がゼロレーティング対応プランの提供を開始した。

 ある意味で、ゼロレーティングサービスがキャリアの“差別化要素”の1つとなっているのだ。

ゼロレーティングサービスを提供する事業者(その1)ゼロレーティングサービスを提供する事業者(その2) 2019年7月現在においてゼロレーティングサービスを提供しているMNOとMVNOの一覧(総務省調べ)。対象を自社サービスに限っている場合もあれば、サードパーティー製のアプリやサービスにも門戸を開いている場合もある

 スマホのスペック向上と通信ネットワークの高度化、音楽・動画ストリーミングサービスの発達に伴い、データの総通信量(トラフィック)は「幾何級数的に増加」(総務省資料:PDF形式)を遂げている。特にモバイル通信は、固定通信よりも増加ペースが速くなっている。

 当然、トラフィックが増えているということはユーザー1人当たりのデータ通信量も増えている。1カ月単位で割り当てられた容量を使い切る、いわゆる「パケ死」に直面するユーザーも少なくない。

 パケ死を避けるには、より上位のデータ容量を持つプランの変更(アップセル)も有効だが、上限があることには変わりない。データ通信を頻繁に行うアプリやサービスが明確なら、当該アプリ・サービスを対象に含むゼロレーティングサービスを契約した方が、出費をより抑制できる可能性もある。

 個々の事情次第な面もあるが、ゼロレーティングサービスはユーザーにもメリットがあるのだ。

増え続けるトラフィックそこで出てきたゼロレーティング データ通信のトラフィックは増加の一途。ユーザーの通信料金を抑制する手段の1つとして、ゼロレーティングサービスは有用になりうる

 しかし、ゼロレーティングサービスには課題もある

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