ASUSのフラグシップスマートフォン「ZenFone 6」が、いよいよ日本でも8月23日に発売される。本機の顔ともいえるフリップカメラは、他社のスマートフォンにはない大きな特徴。20日に開催した発表会でも、このフリップカメラについての説明に、多くの時間が割かれた。
フリップカメラの中には重力センサー、ジャイロセンサー、カメラセンサー、落下センサーといったセンサーが詰め込まれており、ASUS JAPAN システムビジネス事業部 テクニカルプロダクトマネージャーの阿部直人氏は「ASUSの技術力がなしえたものだ」と胸を張る。
一方、カメラを動かすためのモーターは、従来のポップアップカメラに採用されているモーターだと満足のいく動きができないため、ステッパーモーターを再設計することで、より速く動かすことに成功。阿部氏によると、ZenFone 6のフリップカメラは「一定の速度ではなく、2ステップの速度で滑らかに動く」という。フリップカメラのケースには、強度と摩耗性を確保したというリキッドメタルを使っている。
「カメラが回転する」というのはギミックとして、とても面白い。では、実用面ではどんなメリットがあるのか? 大きく3つのポイントを紹介する。
1つがアウトカメラと同等の画質や機能で自分撮りができること。ZenFone 6のメインカメラは4800万画素で、逆光でもより鮮明に撮影できる「HDR++」、被写体をぼかす「ポートレートモード」、夜景を鮮明に写す「夜景モード」などを利用できるが、これをそのまま自分撮りでも活用できる。
カメラのテスト機関「DxOMark」では、セルフィー機能では最高得点となる「98」をZenFone 6が獲得し(2019年6月時点)、「セルフィーで世界一の評価を得た」とASUSはアピールする。
さらに、ZenFone 6には超広角カメラも搭載しており、これを自分撮りで活用することで、自分+友人などのグループ撮影も行える。4Kサイズ、60fps、電子式手ブレ補正を用いた動画撮影もインカメラで行える。
2つ目の大きな特徴が、フリップカメラの角度を調節することで、スマホ本体を大幅に動かすことなく、さまざまなアングルで撮影できること。例えばカメラを90度の状態で固定すると、撮影者がしゃがまなくても、スマホを少し傾けるだけで、子どもやペットなどを正面から撮影できる。
筆者は子ども(3歳)をよく撮影するが、正面からスマホを向けると、画面を見たがって撮影がうまくいかないケースが多い。自分の顔が画面に映るインカメラなら協力してくれるが、他のスマホだと画質が落ちるので、あまり使いたくない。しかし、ZenFone 6ならアウトカメラをインカメラとして使えるので、積極的に使いたくなる。また、アングルを変えることで、子どもには撮影をしていると気付かれず、普段のありのままの姿も撮影しやすくなりそうだ(このあたりは実際に試さないと、何とも言えないが)。
阿部氏は、ZenFone 6で撮影した幾つかの作例を紹介。その中で、説明を聞いて「なるほど」と思ったのが、真下から見上げた森林の写真。こういったアングルの写真は、通常ならスマホを上に向けて撮るが、ZenFone 6ならカメラを回転させるだけで撮れる。撮影者が無理な体勢で撮る必要がないため、手ブレも抑えやすくなる。
3つ目のメリットが、フリップカメラが自動で動いてワイドな写真を撮影してくれる「オートパノラマ」を使えること。通常、スマートフォンでパノラマ写真を撮影するには、スマホ本体を動かしながら撮る必要があるが、少しでも動きがずれると、不自然な写りになってしまう。しかしZenFone 6なら、スマホ本体を動かすことなく、自動でパノラマ写真を仕上げてくれる。縦向きと横向きのどちらでも可能だ。また、好きなタイミングでストップすれば、写す範囲も自分で調整できる。
発表会では写真家の谷口巧氏がゲストとして登壇し、ZenFone 6で撮影した幾つかの写真を紹介。東京タワーやスカイツリーを真上から見上げたパノラマ写真など、ZenFone 6の機能を生かした印象的な写真が多く見られた。
このように、ZenFone 6のフリップカメラは、ギミックとしての面白さと、実用性を兼ね備えていることが分かる。気になるのは実際の画質だが、詳細はあらためてレビューしていきたい。
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