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» 2019年10月26日 08時00分 公開

石野純也のMobile Eye:ソフトバンク秋冬モデルの戦略を解説 ハイエンドが多く、ミッドレンジが少ない理由は? (3/3)

[石野純也,ITmedia]
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「初のXperia」と購入補助を最大限生かす「Libero S10」を導入するY!mobile

 これに対し、Y!mobileは「下期からは分離プランを前提にしたラインアップを組んでいく必要がある」(常務執行役員 プロダクト&マーケティング統括 Y!mobile事業推進本部本部長兼サービス企画本部長 寺尾洋幸氏)と、電気通信事業法の改正に合わせ、戦略的に端末を取りそろえた。もともとY!mobileでは、Android Oneを主軸に型落ちのiPhoneやHuaweiなどの廉価モデルを販売していたが、秋冬モデルでは同ブランド初のXperiaとなる「Xperia 8」をラインアップに加えた。

ソフトバンク Y!mobileでは、秋冬モデルとして4機種を発表している

 Xperia 8はミドルレンジのスマートフォンで、海外で販売される「Xperia 10」をベースにしながら、おサイフケータイや防水などの“日本仕様”に対応したモデル。Y!mobileでの価格は、4万円台半ばに抑えられている。

ソフトバンク 日本仕様に対応したミドルレンジモデルの「Xperia 8」

 Xperiaを導入したのは、「多くのお客さまが使っている」(寺尾氏)ためだ。最近では、Androidの国内シェアトップをシャープに奪われてしまったソニーモバイルだが、4年間の累積シェアは29%と、依然として存在感は大きい。ドコモが夏モデルとして発売し、その後、楽天モバイルやMVNO各社に採用された「Xperia Ace」も、販売は堅調だ。「今までは残念ながら取り扱いがなかったが、ソニーモバイルの販売した29%のマーケットを狙っていける」(同)というのが、Xperiaを導入した理由だ。ありていに言えば、大手キャリアからユーザーを獲得するための武器がXperia 8ということになる。

ソフトバンク
ソフトバンク シェアはここ数年、徐々に落ちているが、依然として累積でのユーザー数は多く、「Xperia Ace」の販売も好調だという

 「端末価格が非常に重要になってくる」(同)状況に対しては、ZTEの「Libero S10」で応える。同モデルの予価は2万8800円(税込み)ながら、デュアルカメラや指紋センサーは搭載。おサイフケータイには非対応だが、防水には対応するコストパフォーマンスのいい端末だ。ミドルレンジモデルとしては一般的な価格帯だが、ここで効いてくるのが割引だ。改正・電気通信事業法の下でも、2万円までなら端末購入補助を出せる。これを適用すれば、8800円という1万円を下回る価格が実現する。「2万円という購入補助を最大限生かせる端末」(同)というわけだ。

ソフトバンク 価格と性能のバランスを意識したZTEのLibero S10
ソフトバンク 割引を最大まで適用すると、1万円を下回る価格を打ち出せる

 Y!mobileでは、シャープ製の「Android One S7」や京セラ製の「Android One S6」も導入。全4機種で、改正・電気通信事業法施行以降の市場に対応していく方針だ。サブブランドのないドコモや、同じ会社で一体運営していないauと比べ、ソフトバンクはソフトバンクとY!mobileのすみ分けを明確に打ち出している印象で、分かりやすい。両ブランドを併売する店舗が1000を超え、「同じ端末を違う料金で売るのは、現場としてもやりづらい」(郷司氏)という事情もあるようだ。

 一方で、ブランドごとに端末が分かれているのは、「分離プラン」の趣旨にそぐわないといった見方もある。また現状でも、ソフトバンクの端末を一括かクレジットカード払いで買い、即時SIMロックを解除すれば、SIMカードだけをY!mobileにすることが可能だ。この仕組みの広がり方次第では、端末で2つのブランドをすみ分けるのが難しくなる可能性もある。総務省で進むSIMロック解除の議論も、ソフトバンクにとっては悩みの種といえるかもしれない。

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