KDDIは11月1日10時に、全国で13店舗目となる直営店「au 渋谷スクランブルスクエア」をオープンする。場所は渋谷駅直上の大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」11階で、モバイルアクセサリーや雑貨などを取りそろえる。
同店は携帯電話やアクセサリーを販売するだけでなく、5G時代にふさわしい直営店として、中国Nrealのスマートグラス「NrealLight (エンリアル ライト)」を用いた映像やARコンテンツが楽しめる視聴体験コーナーも設置する。
NrealLightは、現実世界に3Dオブジェクトなどを重ねて表示する「Mixed Reality」(複合現実)技術を用いたスマートグラスで、AndroidスマートフォンやPCとケーブルで接続して利用する。本体の重さは88gと軽量で、サングラスのような感覚で使える。片目の解像度は1080pで、表示できる画角は52度だ。
常時1台が展示、土日は3台が展示され、店舗スタッフ案内のもと、下記のコンテンツを視聴できる。
NrealLightは、中国Nrealが2019年1月に発表し、5月にはKDDIとパートナーシップを結び、国内での本格普及に向けて、共同プロジェクトを進めている。今回、auの新たな直営店でNrealLightが体験できるのも、両社の取り組みの1つだ。
最近ではソフトバンクが8月に行った5Gプレサービスの体験会で、バスケットボールの試合をさまざまな角度から捉え、3Dに再構成した映像を閲覧するデバイスとしても使用された。
NrealLightのメリットや今後について、KDDIサービス本部 プロダクト開発1部 プロダクト2グループの王健氏にうかがった。
「頭にかけて使うデバイスは、VRを含め、既に多くの製品が存在する。しかし頭全体を覆ってしまい、装着していると、次第に目や首が疲れてくる」と、王氏は現在のヘッドマウントディスプレイの欠点について話す。一方、NrealLightの形状はメガネやサングラスと見た目がほとんど同じ。王氏は「ただ単にデジタルを体験するツールだけ用意しても、多くの人に使ってもらえない」と話す。
NrealLightの重量は88gと軽く、首から下げたり、胸ポケットに引っ掛けたりできるのもメリットだ。
もちろん形状だけにとどまらず、現実世界に3Dオブジェクトなどを重ねて表示できるという特徴もあわせ持つ。王氏は「例えば、今回のような携帯ショップであれば、NrealLightを装着した状態で店舗を見渡すだけで、それぞれの商品情報や、待ち時間などが表示され、店舗スタッフがいなくても、さまざまな情報を得られる」と述べた。
手軽に装着できるメリットがある一方、スマートグラスの課題もあり、コンテンツがVRなどに比べて少なく、普及には至っていないのが現状といえる。
こうした状況を踏まえ、Nrealは、日本の開発者を支援するプロジェクト「Project Eve」の参加申し込みを10月9日から受け付けており、選考を通過した人にはNrealLightを1週間無償で貸し出す。
単に直営店に置くだけのデバイスであれば、KDDI側がコンテンツを用意すれば済むが、将来的には一般消費者向けに製品化することも検討しており、こうしたプロジェクトを通して、NrealLightのアプリやコンテンツを開発してもらうのが狙いだ。
また、今回はあくまでスマートグラスが何なのかを体験してもらうべく、NrealLight本体と一部のコンテンツを用意したという。王氏は「同店で体験できるコンテンツを増やす予定で、いろいろな方々に体験いただきたい」と話した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.