10月21日、総務省で「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の第19回会合が開催された。
日曜日と即位礼正殿の儀の行われる日の間の月曜日、夕方5時からの開催となって、有識者の欠席が目立った会合であった。議論が行われた時間も1時間弱と短く、「わざわざ、こんな日、時刻にやらなくてもいいのでは」と思わせる内容であった。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年10月26日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額500円・税別)の申し込みはこちらから。
携帯電話料金の値下げに向けた施策が一段落したこともあって、5G時代におけるMVNOへの接続料のあり方について、議論があった。
そのなかで有識者からは、接続料の考え方について、「(MVNOが)5Gのサービスを提供する上では、5Gが普及していかなければ意味がない」という発言が印象的であった。
MVNOが5Gのサービスを提供しようと思えば、当然のことながら、5Gに対応したスマホなどのデバイスが必要になってくる。しかし、昨今の有識者会議による議論によって、スマホに対する割引に大幅な規制が入った。これにより、比較的、高価になりそうな5Gスマホに対しても、ほとんど割引がない状態で提供されることになりそうだ。
いまさら「5Gが普及しなくては意味がない」と心配するのは、お門違いではないか。
有識者が「5Gが普及するかどうか」という心配をしているが、そもそも、5Gの普及に向けて足を引っ張る施策を作ったのは総務省と有識者ではないのか。
日本で本格的に5Gを普及させたいのであれば、いますぐに、これまで展開してきた施策を辞め、5Gの普及を促進するようなガイドラインに改定すべきだ。このままで、日本の5Gは世界に比べてさらに遅れることになるのではないか。
5G時代にもMVNOという存在を残し、MNOとの競争関係を作りたいのであれば、5Gスマホの普及を後押しする割引施策が必要なはずだ。
有識者会議は、自らの過ちに気が付き、方針を展開する考えはあるのか。本当にこの人達に日本の通信行政の未来を語らせていいのか。
改めて、有識者会議の行く末に頭が痛くなるのであった。
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