China Mobileの5Gはまず北京、上海、天津、広州、深センなど約50都市でサービスが開始される。カバーエリアはすでにWebに地図が掲載されているが、大都市圏であれば市内中心部はほぼ5Gの電波が飛んでいる状況だ。とはいえ、室内や地下はまだアンテナのないところも多いため、基本的には屋外や室内の窓側での利用が現実的だろう。各都市には5Gを体験できる専門の営業所も設け、5Gのプロモーションを積極的に行っていくとのこと。
過去に中国で新しい通信方式のサービスが始まったときは、端末の種類や品質に問題があった上に、カバレッジも狭く利用者はなかなか増えなかった。3G開始時にはTD-SCDMA方式を急いで商用化したばかりに低品質な端末しか用意できず、カバレッジ以前にネットワークの品質も悪く使い物になるまでにはかなりの時間を要した。また4Gでも他国がFDD-LTE方式を採用したのに対し、TD-LTEの展開を図ったためにサービスの開始そのものが他国より大きく遅れた。今でこそ中国全土は4Gのサービスエリアが充実しているが、それもここ最近になってからである。
5Gではその反省を生かし、本サービスの開始前から3事業者は各都市で5Gのテストサービスを行うことで、ユーザーからのフィードバックを受けるとともに本サービス開始への準備を整えた。またHuawei、ZTE以外のインフラベンダーにも5Gネットワーク設備の市場参入を開放し、Ericsson、Nokia、Samsungなどが通信事業者と協業して5Gインフラを投入している。
今後は3事業者ともにカバーエリアの拡大と、5Gならではのアプリケーションの開発・投入が急がれる。現在は4Gのコアネットワークを5Gで共用するNSA(Non Stand Alone)方式を提供しているが、5G単独でネットワークを組むSA(Stand Alone)への移行も視野に入れつつ、B2B向けのIoTサービスなども展開されていくだろう。2020年には新規参入したChina Broadcast Network(チャイナブロードキャストネットワーク、中国広電)も5Gサービスに参入し、早くも競争が激しさを増し4Gから5Gへのユーザー移行が大きく促されると予想される。
5Gサービスは開始されたばかりだが、既に開始以前の予約者数が10月9日時点で1000万人を突破している。現時点で世界最大の5G市場である韓国の5G加入者数は9月に300万、年末までに500万に達すると予想されているが、中国はそれを一気に抜き去ったのだ。3事業者の予約者の割合は、おおまかにChina Mobile:China Telecom:China Unicomの比率が3:1:1。これは現時点の各社の総計約数とほぼ同じ割合だ。
日本では2020年に5G商用サービスが始まるが、中国向けに販売されている5Gスマートフォンの引き合いがあれば、OnePlusやXiaomiが5G機で新規参入する可能性もある。また日本と中国間での5Gローミングが早期に始まれば、両国を行き来するビジネスパーソンや旅行者向けにリッチコンテンツを使った新しいサービスを提供する動きも出てくるだろう。中国の5Gの動きは日本を含むアジア全体の通信サービスの質を大きく引き上げ、新たなビジネスチャンスをもたらすものになるのである。
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