料金に対する満足度は低下傾向だが、分離プランの利用者に限っては評価が高くなっているというのも興味深い。
分離プランを利用するユーザーが今後増えていくことを考えると、「各種費用」の満足度が下げ止まるのではないかと野本氏は予想する。月々の端末割引が抑えられても、価格の安い端末に買い換えたり、分割払いが終わったりしたときに料金が安くなったと感じているのかもしれない。
なお、「各種費用」を高評価しているのは、主にデータの利用が「1GB以下」のユーザーだ。2万7600サンプルのうち、約2割が1GB未満のユーザー。自分がどれくらい使っているか分からない人たちも2割程度いるので、それを除くとさらに割合は多いということになる。次に高評価している割合が高いのが10〜20GBのデータ容量を使う人たち。10GB未満の中容量のユーザーはあまり満足していないということだ。
「従量制プランは各社、微妙に容量の幅が異なります。自分に合ったものを選びたいという時代の風潮を考えると、本来は1GB刻みで計算される方が、ユーザーは損した気分にはならないかもしれません」(野本氏)
全てのユーザーが満足する料金プランを提供することは難しいが、「今までは横並びでしたが、各社、微妙に内容が異なることで良い意味で健全な競争になり、工夫が三者三様になってきています」と野本氏は評価している。
ユーザーが最も期待しているのは「公衆無線LAN」で、ギガの消費を抑えるサービスとして求めているという。中途半端に公衆無線LANにつながるなら不要だと端末のWi-Fiをオフにしている人が多いと感じていたが、意外にも要望は強いようだ。
データ容量のシェアや繰り越しを望んでいる人も2割いる。「ユーザーは、契約した容量まで使う権利を持っていると思っていて、残ったらもったいないから繰り越ししたいと思っています」と野本氏は指摘する。
ユーザー目線ではもっともな話だが、キャリアとしては別の考え方があるのだろう。一方、業界内で期待感が高まっている5Gについてはどうか。
野本氏は「通信品質、例えば速度が不満(1点から4点)と評価しているのは1割ちょっと。つながるのが当たり前になっている状況で、5Gが始まって満足度が大きく上がることにはならないのではないでしょうか」と語っている。
ユーザーは現状のサービスで事足りている状態で、満足度は5Gの展開よりも料金プランやポイントプログラムなど、お金に関わるものや付加サービスで変わってくるだろうとのことだ。各社が力を入れている決済サービスも、ポイントプログラムとの連携が強化されると満足度に影響する可能性がある。
また、このインターネットの調査に回答しているユーザーでも、6割が電話機を専売ショップで購入しているという。2割は家電量販店で買う。ほとんどのユーザーは対面で電話機を購入しているのだ。
「オンラインで購入するのは11〜12%だけです。電話機はお店で買うのが当たり前。また、半分の人が契約変更や問い合わせ、トラブルでお店を利用しています。何かあったらお店に行くのがMNOのユーザーというわけです」
なお、楽天モバイルがMNOとして参入しているが、次回の顧客満足度調査に楽天モバイルを含めるかどうかは「シェアの取り幅次第」だという。楽天モバイルが調査対象となるか、満足度に影響を与えられるかどうか、次回の調査も楽しみだ。
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