もっとも、先に引用した上月氏のコメントの通り、現状のNrealLightでも、まだまだ一般ユーザーに販売するのは難しい。販売開始のターゲットにしているのは、開発中とみられる後継機になるはずだ。Snapdragon XR2が登場したことで、こうしたXRデバイスの進化も期待できる。上月氏も、Snapdragon Tech Summitで発表されたSnapdragon XR2を高く評価する。
「上からの言い方からもしれないが、非常に頼もしく、楽しみな内容。バッテリーの消費電力が低減されるのはQualcommのお家芸だが、そこがないとモバイルでは全てが難しくなる。複数カメラの同時利用も発表されたが、アイトラッキングやゲイズコレクション(視線の補正)の計算が速く、効率的になるなど、さまざまな点が改善されている」
搭載できるディスプレイの解像度が3K×2に上がり、遅延も低減されることで、これまではどこか“作り物っぽさ”が強かった拡張現実や仮想現実の世界にも、磨きがかかっていきそうだ。これまでは「一言で言うと、厚いし、重いし、疲れる。デバイスの使いやすさが伴っていなかった」(同)XRデバイスだが、その欠点が徐々に解消されようとしているというわけだ。
キャリアの動きもにわかに活発化している。KDDIだけでなく、ドコモも資本提携した「Magic Leap」の発売を計画するなど、コンシューマー向けのXRデバイスを展開していく予定。スマートフォンの周りにさまざまな周辺機器がつながる「マイネットワーク構想」を打ち出しており、ドコモの販路を生かしてこうした機器を販売する。5Gの世界観を示すデバイス、サービスとして、キャリアがXRに熱視線を注いでいることがうかがえる。
(取材協力:クアルコムジャパン)
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