NrealLightはスタンドアロン型ではなく、あくまでスマートフォンに接続して使うスマートグラス。そのため、当初は「スマートフォンのアクセサリーの1つとして販売するのが現実的」(上月氏)だ。端末販売はビジネスモデルの1つで、「まずは物販の観点で取り組んでいく」(同)という。
XRに取り組むもう1つの理由が、データ通信の利用促進だ。上月氏は「ビデオストリーミングで、データの消費が増えることを期待している」と語る。下りだけでなく、上りのデータ量も増えていく可能性があるという。上月氏は、アップリンクの活用も進むと見ているとしながら、次のように語る。
「高度なアプリケーションでは、スマートグラスのカメラで撮った映像を解析する必要も出てくる。MEC(マルチアクセス・エッジ・コンピューティング)を使う場合もあれば、サーバを使う場合もあるが、いずれの場合も、上りのデータユーセージは増えていくことになる」
とはいえ、コンシューマーにとって、ARのスマートグラスは未知のデバイスになる。山田氏が「当面は、物販だけだと厳しい」と語るのはそのためだ。同氏は「端末だけでなく、利用シーンや体験も一緒に提案していかなければならない」と続ける。
実際、KDDIは「auスマートパスプレミアム」のサービスを強化しており、11月には、料金据え置きのまま「エンタメ楽しみ放題」を追加。2020年3月以降は、この中にXRのコンテンツも用意していく。また、Snapdragon Tech Summitに先立つ形で、KDDIはNrealLightと、それを接続する5Gスマートフォンを、開発者に無償で貸し出すプログラムを発表している。
「特にコンテンツのエコシステムがないと、こういったものは普及しない」(上月氏)と考えているからだ。auスマートパスプレミアムのように「個別に相対でもやっている方もいるが、それだけだとどうしてもアイデアが限られてしまう」(同)。デバイスだけでなく、コンテンツもそろえ、XRを訴求していくというわけだ。XRを5Gの主力サービスの1つと捉えていることがうかがえる。
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