5G(第5世代移動通信システム)の力で渋谷をエンターテインメントの街にしていく――そんなプロジェクトが、1月24日から始動した。
このプロジェクトはKDDI、渋谷未来デザインと渋谷区観光協会の3者が主幹事となり、Netflixやパルコなど32の企業・団体が参画し、渋谷区と渋谷区商店会連合会が後援する形で行われる。
1月24日に行われたプロジェクトの会見で、KDDIの繁田光平氏(パーソナル事業本部アグリゲーション推進部)は、「渋谷区の全てをエキシビジョン(展示会場)であると捉えている。昨年(2019年)9月に渋谷区と『渋谷エンタメテック推進プロジェクト』を作り、オープンカンファレンスでディスカッションを重ねてきた。顧客と共に創出するに当たり、多くの人が集う街がやりやすいと考え、渋谷区でプロジェクトを始動するに至った」と経緯を説明した。
さらに同氏「プロジェクトはKDDIだけでは実現できない。我々に共感してもらえるパートナー各社と共に未来を作って行きたい」と付け加えた。
このプロジェクトでは、1月24日と25日の2日間、5Gの可搬型基地局を渋谷駅にある「ハチ公前広場」に設置。1964 TOKYO VRやPsychic VR Labの協力のもと、5Gを活用したxRコンテンツの体験ブースを開設する。ブースで貸し出される5Gスマートフォンをかざして、昔のハチ公前広場を見てみようという趣向だ。
今回のxR体験で使われるコンテンツは「STYLY Studio(β版)」で製作されており、先述の5Gスマホには、それを再生する「STYLY ARアプリ」がインストールされている。
体験ブースで受け付けを済ませると、スタッフから5Gスマホを手渡される。ブースの踊り場に上がったら、スマホのSTYLY ARアプリを起動し、壁に貼られたQRコードを読み取る。すると、スマホに現在地周辺の3Dマップのデータがダウンロードされる。このダウンロードに、au 5Gを利用する。
会場の説明員によると「データのダウンロードに4G(LTE)だと1分程度掛かるが、5Gならほんの数秒で終わる」という。
筆者も実際に体験してみたが、現在と56年前の渋谷をその場で見比べることができて、「自分の知らない渋谷」を見られたことに感動を覚えた。ハチ公広場といえば有名な銅像「忠犬ハチ公」で知られているが、現在と昔では位置が変わっていることも確認できる。
ハチ公前広場にある、東京急行電鉄(現・東急電鉄)の初代5000系電車の車体を活用した観光案内所(通称「青ガエル」)では3月31日まで、au 5G、xRやAIを活用した「未来の観光案内」の実証実験を国内外のパートナー企業と共に随時実施する。
期間中、観光案内所には渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトの装飾が施される。
この他、参画企業の1社である丸井の商業施設にKDDIが出店している「au SHIBUYA MODI」において、au 5Gを活用したイベントの中継視聴体験が実施される。
1月25日は、LINE CUBE SHIBUYAで行われる「uP!!!NEXT 須田景凪〜晩翠〜 powered by au 5G」の模様を一部ライブ中継する。このライブ中継では、au SHIBUYA MODIにいる視聴者が、5Gスマホを介してライブ会場のステージ演出にリアルタイム参加できるようになっているという。
1月26日は、幕張メッセで行われるeスポーツ大会「Evolution Championship Series in Japan 2020」の決勝戦の模様をライブ中継する。
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