5Gが創出する新ビジネス
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» 2020年02月03日 13時16分 公開

DOCOMO Open House 2020:「5Gの発展」と「6Gの世界」はどうなる? DOCOMO Open House 2020で語られたこと

「DOCOMO Open House 2020」では、5Gの進化と、次世代の6Gに関するパネルディスカッションを実施。ドコモ、Ericsson Research、Nokia、エヌビディアのキーマンが参加。6Gの定義やキーテクノロジー、スケジュールなどについて語った。

[房野麻子,ITmedia]

 1月23日〜24日にかけて5Gに関する技術や活用事例を展示した「DOCOMO Open House 2020」にて、5Gの進化と、次世代の6Gに対して業界の関係者が語るパネルディスカッションを実施。5Gの今後と6Gを関係者がどう見ているのか、ポイントを紹介する。

6G 5Gと6Gに関するパネルディスカッション

 モデレーターはNTTドコモ 執行役員 5Gイノベーション推進室長の中村武宏氏が務めた。パネリストはEricsson ResearchのSenior Expert エリック・ダールマン(Erik Dahlman)氏、NokiaのNokia Fellow and Head,Redio Interface Group アミタバ・ゴーシュ(Amitabha Ghosh)氏、エヌビディア 日本代表 兼 米国本社副社長の大崎真孝氏。

6G モデレーターのNTTドコモ 中村武宏氏
6G 左からEricsson Researchのエリック・ダールマン氏、Nokiaのアミタバ・ゴーシュ氏、エヌビディアの大崎真孝氏

「マトリックス」のような世界も6Gで実現する?

 まず、5Gが浸透する2020年代、さらに6Gが始まることが予想される2030年代のモバイル通信のユースケースについて議論した。

6G 5Gの今後や6Gに関するテーマでパネリストが議論

 ダールマン氏は、2020年代には「モバイルロボットと、あらゆる種類のインターネット動画配信が利用される」と断言。2030年代には、これらのデバイスがますます増えると予想した。通信の要求条件がさらに厳しくなるので、「新しいユースケースがどんなものであれ、将来のためにあらゆる要件を満たせる技術を開発することが重要だ」と語った。

 ゴーシュ氏もダールマン氏の意見に同意。高速大容量通信を活用し、「次の2、3年で新しい価値を創造しなければならない」と提言した。産業では低遅延とネットワークの高信頼性が重要で、それは6Gでも引き続き重要になるという。従来型のネットワークと、HAPSなどの地上以外のネットワークを介してモノがつながり、産業が新しい価値を生み出すことを期待していた。ゴーシュ氏が特に注目しているのがホログラフィックコミュニケーション。実現するにはこれまで以上の低遅延と高信頼性が必要だが、「映画『マトリックス』のような世界も6Gで実現すると思う」と語った。

 大崎氏は、2030年代は自立型のロボットがたくさん出てくると予想。また現在は法律上、情報共有が難しい医療現場で、「5Gや6G、AIを活用し、病院でよりよいサービスを得られる」とした。一方で、「6Gで全てが変わるわけではなく、2020年代に見られるサービス、新しいサービスからの継続的な革新」になると考えているという。

 エヌビディアの技術が多用されている映像分野でも、低遅延で進化していくと期待。「ARやVRといったXRの技術は、現在は十分に成熟していないが、5Gから6Gに移行すると、より高度な仮想化を楽しめる」と語り、映像系サービスの市場が変化すると予想した。

 いずれのパネリストもネットワークの高信頼性も重要との見解。かつ、ゴーシュ氏はそれが全てワイヤレスで実現されることが必要だと加えた。

6Gの定義はこれから

 そもそも6Gの定義はどうなるのか。ドコモの中村氏は「移動通信システムの世代は、4Gまでテクノロジーによって定義されてきたが、5Gはちょっと違う。定義が難しい世代になっている」と語り、6Gは何で定義されるか、5Gと6Gの違いは何か、既存の通信システムとの互換性などについて尋ねた。

 ダールマン氏は、5Gがユースケースベースで定義されたことを評価。「無線通信の観点では、ある段階で標準化が必要。無線で6Gの定義になると思うが、ユースケースを考えると、物事は進化していくので難しくなる」との意見。

 ゴーシュ氏は「6Gではユースケースを見つけて、新たな価値を作らないといけない。2006年にiPhoneが4Gで世界を変えたように、そういうことを考えなくてはいけない」と回答。全てがワイヤレスで接続するので、信頼性が必要で、低遅延も重要だとした。1ミリ秒(0.001秒)以下の低遅延を実現するには、ネットワークの分散化も必要だと語った。

 2氏の意見を聞いて大崎氏は「映像の要件やコンピュータのパフォーマンスは、今後5、6年でどんなサービスが提供されるかに左右される。サービスが始まる前に先んじないといけない」とし、サービスやソリューションの必要性を説いた。

6Gでも低遅延や高速通信は重要

 5Gの進化や6Gに必要なキーテクノロジーについて、ダールマン氏は「どんな場所でも速いデータレート、低遅延、高信頼性だ」と話す。

 ゴーシュ氏も、VRやAR、ホログラフィックを使うためには、高速通信、0.1ミリ秒(0.0001秒)レベルの低遅延が必要だとした。一方で、「周波数利用効率は、あまりよくすることはできないと思う」とみる。

 中村氏は携帯電話事業者の立場からすると「周波数利用効率を上げたい」と語ったが、ダールマン氏は劇的に上げることは難しく「低コストで実現することが重要」と述べた。

 ゴーシュ氏はネットワークの高密度化に言及。5Gや6Gでは高い周波数帯を利用するので遮蔽(しゃへい)物に弱く、基地局をたくさん設置することになる。高密度化したセルの管理も重要になると語った。

AIは高品質なエリア構築にも役立つ

 5Gや6GではAIも重要な技術になると予想されている。AIについて問われたダールマン氏は「正直よく分からないが、AIは偏在すると思う」と述べ、ネットワークや無線技術など至る所にAIの技術が活用されると予想する。

 大崎氏も「AIは成熟してきていている。無線回線は、次の10年のAIコンピューティングに重要な役割を担うと思う」と期待を語った。

 ゴーシュ氏は、AIがミリ波ネットワークを展開する上で、高品質なエリアを作る際に役立つだろうとした。

 中村氏はオペレーターの立場として、ネットワークの自律制御によって故障発生時のサービス復旧を自動化する「ゼロタッチオペレーション技術」にも期待を寄せる。大崎氏は「AIの専門家とネットワークの専門家が協力し、十分なリソースがあれば、あり得ると思う」とした。

6Gはいつ始まる?

 最後に、6Gがいつ始まるか、標準化と商用化の時期について語った。

 ダールマン氏は「6Gとは何かを定義する」立場だが、3GPPでは9年ごとに新しい標準化ステップがあり、「2029年に備えるため、今すぐに作業を行う必要がある。2020年内に準備は必要」と指摘した。

 これにゴーシュ氏も同調する。「3GPPのどのリリースで始まるかによる。技術仕様のリリースは15〜18カ月サイクルで進んでいくので、「(標準化は)2026年、2027年か。あるいは2030年くらいになると思う」と語ったものの。「まだ5Gを展開したばかりで、足りない部分もある。(6Gを)予想するにはあまりにも遠すぎる。キーが何かを判断するにも時間がかかる。待つしかない」とも述べた。

 中村氏も「6Gはまだ不明。でも議論する必要がある。このセッションは、日本で6Gについて議論する一種のキックオフ。さまざまな産業分野、政府、学会、業界の人たちと、もっと議論する必要がある。6Gについて具体的な意見を得るために、日本だけでなく世界中で6Gに関する議論に参加してください」と聴衆に呼びかけた。

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