楽天モバイルから相次いでキーマンが離脱――サービス開始直前、社内でなにがあったのか石川温のスマホ業界新聞

» 2020年04月10日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 4月1日、日経ビジネス電子版が楽天モバイルの副社長であった徳永順二氏とマーケティング担当であった大尾嘉宏人氏が楽天を退職していたことを報じた。

 大尾嘉氏が退社するという情報は2月上旬、徳永氏の話は3月上旬には業界ではすでに有名な話であった。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年4月4日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 徳永氏は楽天入社前はソフトバンクで渉外部門を担当。ソフトバンクから楽天への電撃移籍が業界内で話題となっていた。

 また、大尾嘉氏はMVNOの楽天モバイル時代から、記者会見にも登壇するなど、同ブランドの顔的な存在であった。渉外とマーケティングのキーマンが、サービス開始直前に離脱するとは、社内的に「何かがあった」と推測したくなってくる。

 商用サービスの目玉である「月額2980円で使い放題」や「楽天Link」に対して、社内で擦ったもんだがあったのかもしれない。

 徳永氏をあれこれネットで検索してみると、ソフトバンク時代に渉外担当として「0ABJ IP電話」の品質基準に関する規制緩和を内閣規制改革会議創業等WGにプレゼンした資料が見つかる。ソフトバンクの渉外担当として、外国と比べて厳しい品質基準を設ける総務省に対して、規制緩和を迫っていたのだ。

 楽天モバイルでは、090などの番号でIP電話が使える「楽天Link」がウリになっている。まさに、IP電話の推進は、徳永氏がソフトバンク時代に渉外担当として手掛けていた悲願だったにもかかわらず、なぜ、このタイミングで楽天モバイルを去ることになったのか。

 また日経ビジネス電子版では、三木谷浩史社長が、CTOであるタレック・アミン氏を重用し、発言権が高まって来たことが大尾嘉氏が辞めたという推測をしていたが、そもそもタレック氏は技術の人であるし、大尾嘉氏はマーケティングサイドの人間だ。

 昨年10月に無料サポータープログラムを開始したが、当時の混乱に対して陣頭指揮をとって処理していたのは大尾嘉氏であったし、その直後に会う機会があったが、相当、苦労した様子であった。そんな苦労話を聞きつつ、「来年のサービス開始を楽しみにしています」と話したのだが、まさか楽天を辞めてしまうとは思わなかった。

 果たして、楽天モバイルの中で何があったのか。立て続けに二人のキーマンが楽天に落胆し辞めてしまうとは誰が想像したであろう。

「未来IT図解 これからの5Gビジネス」発売!

 石川温さんの書籍「未来IT図解 これからの5Gビジネス」が、エムディエヌコーポレーションから発売されました。5Gの基礎から事例、技術的な特徴までを、図解とともに分かりやすく解説しています。5Gスマホはいつ買い替えるのがベストなのか? 5Gではどんなビジネスが生まれるのか? コンシューマーとして、また事業者として、5Gとどう向き合うべきかが分かります。全国の書店やAmazon.co.jpで購入できます。5Gに興味のある人は、ぜひご一読を!


© DWANGO Co., Ltd.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年