そして極め付きは無制限プラン終了の案内だ。代替プランに移行したくなければ無償で解約できるのだが、問題はその日程。無制限プラン終了は8月24日に案内されたが、どんなときもWiFiでは毎月25日までに解約をしないと翌月解約になり、翌月の料金が発生してしまう。つまり8月25日までに解約をしないと、9月分の料金が発生してしまうのだ。案内は24日にあったので、8月付けで解約をするには、1日しか猶予期間がないことになる。
そこで、同社は8月末での契約受付期間を8月27日17時59分まで延長しているが、猶予期間が2日近く延びたにすぎない。もう少し早く、せめて8月上旬には告知できなかったのだろうか。
どんなときもWiFiの解約料は、契約から12カ月目までが1万9000円(税別、以下同)、13カ月目〜24カ月目が1万4000円、25カ月目が更新月で0円、26カ月目以降は9500円となる。どんなときもWiFiのサービス開始時期は2019年3月のため、まだ更新月を迎えたユーザーはおらず、解約料は1万9000円か1万4000円かかる。これは携帯キャリアの9500円などと比べても高額だ。それだけに、解約金免除の条件や受付期間には、もう少し配慮が必要だったと思う。
そしてもう1つの問題は、25GB無償プランも2020年10月で終了になることだ。25GB無償プランでは、次回更新月(契約開始から2年間)までは無償にするという約束だったが、2年をたたずして終了することに。これはユーザーに対する契約違反と言われても仕方がない。Bさんに送付された案内には「月間25GBプランの提供は無制限プランが継続する前提でご提供させていただいておりました」と書かれてあったが、そのような条件は事前に告知されていなかったという。
通信障害や速度低下を起こしたクラウドSIMサービスは、どんなときもWiFiに限ったことではなく、他のサービスでも起きている。他社は月間や1日のデータ容量を制限する形でサービスを継続させており、新規申し込みも受け付けている。しかしグッド・ラックはそうした道を選ばなかった。それ自体は1つの選択なので批判されることではないが、障害が起きた後の対応がずさんだったと言わざるを得ない。
“誠実”な対応をするのなら、通信障害が起きた2月の時点で全ユーザーに対して「無償で解約可能」とすべきだったと思う。25GBプランも対象ユーザーを分けるのではなく、SIMの調達状況を把握できない時点で無制限をやめて、一律25GB制限にするという選択もできたはずだ。さすがに全員無償は現実的ではないので、値下げで対応し、納得できなければ無償で解約可能とすれば、筋は通る。
「30回電話したけどつながらなかった」(Aさん)というほどつながりにくい電話。フォームで問い合わせても個別の返信がなく、テンプレートの返信が来るのみ。こうしたユーザーサポートの体制はもちろん、サービス品質を損ねたことに対する一連の対応も、納得感のあるものとはいえなかった。「解約料免除」と「25GB無償プラン移行」の対象ユーザーを分けた理由が曖昧だったことも混乱に拍車を掛けた。「契約者に対する情報開示がなさすぎることが一番の問題だった」というAさんの言葉が全てを物語っている。
クラウドSIMサービスで“データ使い放題”が現実的ではないことは既知の通りだが、それでも一定の制限を設けながら高品質を目指してサービスを提供している事業者はある。今回の一件で、クラウドSIMサービス全般の信頼を損なうことになったとしたら、残念でならない。
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