世界を変える5G

異例の早さでキャリア参入 Xiaomiスマホがauに採用された理由は? FeliCaへの対応は?(2/2 ページ)

» 2020年09月03日 11時54分 公開
[石野純也ITmedia]
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将来的にはFeliCaも検討したい

―― 一方で、カスタマイズという点でいうと、FeliCaや防水に対応していません。この点は、どうされていくのでしょうか。防水はグローバルモデルでも共通化できそうですが、FeliCaとなると、日本独自仕様になります。

ワン氏 はい。FeliCaについては、日本独自の機能と理解しています。全ての製品についていえるのは、コストとパフォーマンスや、開発にかかる時間のバランスを取らなければいけないということです。今回は、開発のさまざまな側面を評価し、(日本で)最も安価で、手に入りやすい5Gスマートフォンを、最善のUXでお届けするというところに集中しました。そうすると、いくつかのことは犠牲にしなければなりません。日本市場に参入してから、まだ1年もたっていないので、今の段階で全てを同時に提供するのは難しいのですが、将来的には、FeliCaも検討したいと考えています。

Mi 10 Lite 5G Mi 10 Lite 5Gの主なスペック。防水とおサイフケータイには対応していない

―― 5Gは、KDDIだけでなく、ドコモやソフトバンクも既にサービスを開始しています。また、楽天も間もなく5Gを導入する予定です。これによって、Xiaomiのチャンスは広がっているとお考えでしょうか。

ワン氏 すごく大きなチャンスになる、と考えています。Xiaomiは他の製品より高品質で高価値になるよう取り組んでいますし、Mi 10 Lite 5Gは、そのいい例になっていると思います。5Gについては、Xiaomiは他のメーカーと少し違う視点で見ています。(通信という意味では)4Gと同様で、4Gと比べて端末が高くなるべきではないという考えを持っています。消費者の方々は、あくまでスマートフォンが欲しい。その上でネットワークがより速ければいいと考えるからです。

 価格に関しては、来年(2021年)、さらに下がっていくと思っています。競合と同じような製品でも、Xiaomiはそれを半額で提供したい。重要なことなので繰り返しになりますが、その半額を実現するために、非常に多くの努力もしています。Xiaomiは、この方向でのマーケットリーダーになりたい。Mi 10 Lite 5Gは、そのファーストステップだと考えています。

―― 一方でXiaomiは、SIMフリースマートフォンも展開しています。こちらにも5Gモデルを投入する可能性はあるのでしょうか。

ワン氏 まず、Mi 10 Lite 5GはKDDI独占になるため、SIMフリーバージョンはありません。それ以外の製品については、来年以降のマーケットの評価をしている最中です。今の段階で何かお約束できるようなことはありませんが、現時点での販売数については満足しています。来年は、より品質の高い、コストパフォーマンスの高い製品を展開していきたいと考えています。

米中関係悪化の影響は受けていない

―― そのような中、米中関係が悪化し、中国メーカーに対する風当たりが強くなっています。Huaweiに課されたような規制が強まってしまう恐れもあると思いますが、この点で、何かお話できることはありますか。

ワン氏 私は政治の専門家ではなく、Huaweiのビジネスを理解しているわけでもありません。Xiaomiとして言えるのは、この問題で影響を受けていることはないということです。全ての市場で、プライバシー関連の規制や法律に従っていますし、全ての端末は、Googleの認証を取ったものになります。

取材を終えて:ローカライズの強化に期待

 Mi 10 Lite 5Gは、低価格な5Gスマートフォンのニーズがあると踏んだXiaomiとKDDIが、戦略的に投入した1台だ。ハイエンドモデルが軒並み10万円を超える中、4万円台前半でこのスペックを実現できたインパクトは大きい。Xiaomiの実力をアピールできたという点では、宣伝効果も高かったと評価できそうだ。一方で、ローカライズは課題の1つ。特に、キャッシュレス決済が伸びる今こそ、FeliCaへの対応はぜひ進めてほしい。今後の展開にも期待したい。

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