ここまでの3つは、重要とはいえ、やや縁の下の力持ち的な技術であり、なかなかそのすごさを実感しにくい部分でもある。実は5Gの超高速通信とA14 Bionicの高い性能の組み合わせが、これまで家庭で高速ネットワークに直結したPCでプレイするしかなかった人気のネットワークゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」を手のひらにおさまるiPhoneでプレイできるようにしてしまった。
ゲームの開発者も、その性能には驚いたようで、ビデオコメントで「これまでのどのプラットフォームよりもきれいにキャラを描くことができている」と太鼓判を押していた。
4つ目の共通の特徴は「MagSafe」だ。こちらも充電という、iPhone活用の舞台裏の技術といえばそうなのだが、とても大きな新しい広がりを感じさせる技術でもある。Appleが、割れるリスクを承知で再びiPhoneをガラスボディーに戻した理由の1つは、コネクターを差し込まずに、重ねるだけで充電できる非接触充電を広めるためだ。
ただ、iPhoneが採用している業界標準技術のQi(チー)は、iPhoneを充電台の決められた位置にピッタリと置いておかないと充電が失敗しやすい。最初は、しっかり、置いても何かの拍子で位置がズレてしまうと、充電が止まってしまうこともあり、何か信用できない部分があった。これを変えてしまうのが「MagSafe」で、iPhoneをこの磁石が埋め込まれた円状の充電ケーブルの先に近づけると、iPhone本体に吸い寄せられて吸着して、しっかりと充電をしてくれる。
Appleは、Qiの規格を広めているコンソーシアムにも、この規格の採用を促しているようだが、単にQiの充電技術と磁石を組み合わせただけでなく、ピタッとくっついた瞬間に接触面に埋め込まれたNFC(非接触の情報チップ)で、今、くっついたのがどのような種類の機器かも認識するなど、インテリジェントな仕様に独自拡張しているのが実にAppleらしい。
では、充電器以外に本体の裏に何を吸着させるかというと、ここもAppleらしく面白いところだが、おそらくデザインチームからアイデアが出てきたのだろう。クレジットカードなどを納められる財布「MagSafe対応iPhoneレザーウォレット」という製品が発売予定だ。「MagSafe」対応の他の純正アクセサリーは、MagSafeの充電に対応した新しいシリコーンケースとクリアケースがあるが、それ以外にAppleはBelkinなど他社にもこの技術を使うことを呼びかけており、Apple WatchとiPhoneを同時に充電できる充電台など、今後、他社製品もたくさん出てくる模様だ。
ドローンやジンバル(手振れをなくす機械)の開発で人気のDJIが8月に磁石で吸着するジンバル「DJI OM4」を発表していた(スマホ本体の裏に金属の板を貼り付けて使う)。筆者個人としては、こうしたものもMagSafeに吸着させられるなら、今後、車載キットなど、さまざまな新しいアクセサリーの可能性が出てくるのではないだろうかと思う。
新iPhoneには、ここにあげた4つ以外にも、例えば従来の人気モデルとほぼ同じ本体サイズでありながら画面を大型化していたり、航空宇宙機器で使われるレベルの精密な造形を行っていたり、防まつ/耐水/防じん性能に優れていると言った特徴、さらにはカメラ性能が大幅に進化している、という特徴もある。
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