カメラユニット自体は普通なのに「iPhone 12のカメラ」がスゴいと思う理由(2/3 ページ)

» 2020年10月19日 20時40分 公開
[荻窪圭ITmedia]

注目はコンピュテーショナルフォトグラフィの進化

 じゃあ何がすごいのというと、A14 Bionic Chipである。新しいプロセッサだ。

 CPUとGPUに加えて、ISP(画像処理プロセッサ)、ニューラルエンジンが載っている。2020年の発表ではそれを駆使した「コンピュテーショナルフォトグラフィ」という言葉がいつも以上に出てきた。頻出と言っていいレベル。だからそこがミソと思っていい。

 iPhoneは1回シャッターを押すと1枚の写真を撮る、わけじゃない。

 1回シャッターを押したらその瞬間に、恐らくはシャッターを押す寸前の画像から取得していて、複雑な処理をしているのである。例えばトータルで何枚も(それも設定を変えながら)超高速連写し、それらの画像データをリアルタイムで解析して最適なタイミングのものを選んだり、露出が異なる画像を合成してダイナミックレンジが広い写真を作ったり、画素単位で合成してノイズが少なくディテールがくっきりした画像を作ったりと、いった具合だ。

 このようにA14の全機能を駆使しているのである。A14で処理速度がグッと上がったことで、より高度なリアルタイム処理が可能になったのだ。

iPhone 12 CPUとISPで下処理をして
iPhone 12 GPUが画像処理をして
iPhone 12 ニューラルエンジンが解析してさらにGPUに戻して絵を作る

 特に機械学習を担当するニューラルエンジンの強化が効いてくる。

 例えば、ダイナミックレンジを広げる「スマートHDR3」。iPhone 11 Proの時点でかなり強力に仕事してくれていたが(驚くほどダイナミックレンジを広げてくれる)、今回はさらに写真を解析して顔のディテールを出したり空を認識して調整したりと、複雑な処理をしているようである

iPhone 12 スマートHDR3では写真を解析して部分的な調整を加える
iPhone 12 画像の部分ごとに調整が変わる

 この処理が賢くなると、写真の仕上がりがより安定してヒット率も上がるし、背景が逆光だろうが気にしなくてよくなる。

 コンピュテーショナルフォトグラフィの最たる成果ともいえるナイトモードは、HDRと同時に画像合成によるノイズ低下とディテールの強化を実現することで、ノイズが少なくてダイナミックレンジが広くて描写力が高い写真を作ってくれるのだが、これが超広角カメラやインカメラでも使えるようになったのである。

iPhone 12 超広角カメラでもインカメラでもナイトモード使えるのはデカい。夜でも超広角で撮りたいのだ

 コンピュテーショナルフォトグラフィは今のiPhone 11 Proでも驚くほどの効果が出ているが、ちょっとHDR時の色に癖があったりレンズが逆光に弱かったりと難点もあったので、それがどうなるかも製品が来たらチェックしたい。

 さらにiPhone 12 Proと12 Pro MaxにはLiDARセンサーが搭載された。

 これは目の前にあるものをスキャンして距離を測るものなのだけど、イメージセンサーでのAFが不利になる暗所でこれを使ってフォーカシングすることで、暗所でのAFが6倍速くなるそうである。これはいい。

iPhone 12 12 ProとPro Maxには距離を測るためのLiDARが搭載されている
iPhone 12 暗所でのAFが6倍速くなるとか

 iPhone 12 Proと12 Pro Maxはさらに暗所に強くなり、昼でも夜でも屋外でも室内でもイケる四六時中カメラになったのである。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月12日 更新
  1. 「折り目があります」――Apple初の「iPhone Duo」実機画像がSNSで物議、高価ゆえにガッカリか (2026年09月10日)
  2. NHK受信料未収で宿泊事業者に1140万円請求 「どうしてもご理解いただけなかったため」民事訴訟提起 (2026年09月10日)
  3. 折りたたみ「iPhone Duo」を触って実感した“Appleらしさ” 現地からファーストインプレッション (2026年09月11日)
  4. なぜ? カーナビが「NHK受信料」対象になるワケ 課金されるケースと徴収を免れる方法 (2025年04月15日)
  5. 「iPhone 18 Pro」は何が進化した? 「iPhone 17/17 Pro」とスペックを比較 全て20万円超えの価格が悩ましい (2026年09月10日)
  6. Apple初折りたたみ「iPhone Duo」ついに登場――耐久性から価格まで、気になる疑問FAQで解説 (2026年09月10日)
  7. iPhone 17 Proの背面ガラスがバキバキに 約2.8万円の修理代、「クレカの付帯保険」に助けられた話 (2026年09月11日)
  8. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」どちらが買いか? 2機種を使い込んで分かった“スペック表にない違い” (2026年04月29日)
  9. 「iPhone Duo」発表 Apple初の折りたたみ、Apple Pencil対応、インカメラは埋め込み型でTouch ID採用 10月23日発売、36万4800円から (2026年09月10日)
  10. 「Suicaのペンギン」卒業騒動にまつわる背景と誤解 JR東日本に聞いた (2025年11月14日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー