プラン刷新でiPhone SEも実質0円から 新生「J:COM MOBILE」の戦略を石川社長に聞くMVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2020年11月02日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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auやUQ mobileとのすみ分けにはこだわらない

―― 通信品質はいかがでしょうか。

石川氏 MVNOの中ではトップクラスです。われわれもその辺はずっと見ていますが、まあまあの位置にいると思います。ただ、(ユーザー層の変化を受け)今後はその傾向が変わってくる可能性もあるので、都度、品質を見ながら増強していく必要があります。

―― 大容量プランをプッシュしていくと、auやUQ mobileともバッティングしてしまう部分はあると思います。すみ分けなり、連携なりはどうお考えでしょうか。

石川氏 正直、そこにこだわっていてはいけないと思っています。すみ分けはわれわれが意図してやるものではありません。テレビとの連携や販売チャネルなどで、必然的に分かれていくとは思いますが、ことさら、うちの縄張りがこうでといったことは考えていません。

―― 最終的には、どのぐらいまでユーザー層を変えていきたいと思われているのでしょうか。

石川氏 欲を言えば、人口構成並みになったらいいなとは思っています。今は40代以上が多い。J:COM LINKでOTT(NetflixやDAZNなどのサービス)も大画面で見られるところや、シームレスに放送を見られるところは、若い方にももっとお伝えしていきたいという思いがあります。ですから、プロモーションも、どちらかと言うと若い人向けのものにしていく予定です。

J:COM MOBILE これまでのJ:COM MOBILEとはイメージの異なるビジュアルも用意。若者に向けたプロモーションも行う

「MNOは値下げせよ」ではMVNOの生存領域が狭まる

―― サポートが手厚く、料金も安く、iPhone SEも実質0円なのにもかかわらず、MVNOへの移行はあまり進んでいません。これはなぜだとお考えでしょうか。

石川氏 信頼感だったり、お昼の速度(が遅くなる)だったりはあると思います。また、MNOも何だかんだいいながら、値段を下げています。今度の20GBプランが出てきたらどうなるのか。僕たちの生存領域が狭まってしまう恐れもあります(インタビュー後にY!mobileとUQ mobileが20GBプランを発表した)。ですから、最後は端末との組み合わせや、テレビとの連動による価値のようなところで勝負していかなければいかんと思っています。

 今、MVNOを育てるのであれば、競争政策のようなとこでやるべきで、MNOの値段を下げろというと生存領域が狭まってしまうだけです。eSIMの話や、MNPの手数料の話、音声通話の卸価格の話もあって、それ(競争環境)を整えようとはしています。競争政策で料金が下がっていくのは健全ですが、「いくら以下にしなさい」というと昔のようになってしまう懸念があります。

―― MNOでは5Gが始まりましたが、こちらに対応していく予定はありますか。

石川氏 もちろん、5Gもやろうとは思っています。ただし、ミリ波を搭載した端末はそれなりの価格で、性能面でのよさはありますが、(MVNOが)使い放題をできるかというと、それはできません。50GBプランでも恐らくできないでしょう。そこは、生存領域が限られています。ですが、5Gの特性を生かしたサービスはどんどん出てきます。そういったものは、使えるようにしていきたいですね。

取材を終えて:大規模なプロモーションにも期待

 料金プランを大胆に刷新し、大容量プランを新設したことで、J:COM MOBILEのユーザー層は、狙い通り、徐々に変わっているようだ。石川氏は偶然だと語っていたが、特定関係法人に指定されていない立ち位置を、上手に活用した戦術を取っているようにも見える。iPhone SEが実質0円になるのは、買い替えを考えていたユーザーにとって魅力的だ。大規模なプロモーションを仕掛けるのはこれからになるとのことで、今後の展開にも期待できそうだ。

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