14万契約を突破した「J:COM MOBILE」、iPhone 6sも販売――J:COMのモバイル戦略

» 2017年06月09日 20時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 ジュピターテレコム(J:COM)は6月7日、2017年度の事業戦略説明会を開催した。

 「J:COM Everywhere」をキーワードに、同社は、生活のあらゆる曲面でJ:COMサービスを浸透させる「J:COM Everywhere」戦略を推進している。その中で、同社はMVNOサービス「J:COM MOBILE」をどのように位置付けているのだろうか。

J:COM Everywhere J:COMは生活のあらゆる曲面で生活に浸透する「J:COM Everywhere」戦略を推進している
牧俊夫会長と井村公彦社長 J:COMの牧俊夫会長(左)と井村公彦社長(右)

2016年度は10万件の純増

井村公彦社長 事業戦略を説明する井村公彦社長

 J:COM MOBILEは、au回線を利用する「スマホセット」と、NTTドコモ回線を利用する「SIMカード(Dプラン)」を用意している。J:COMが注力しているのはスマホセットで、J:COMスタッフによる訪問サポートや、「J:COMオンデマンド」のパケット通信料金が無料(カウントフリー)であることが大きな差別化要素となっている。

 2016年度(2016年4月〜2017年3月)は、スマホセットの端末やプランを拡充し、通話準定額「かけ放題5分」を導入するなどサービスの改善に取りくんだ。特に、端末面では売れ筋のAndroidスマホに加えて、「iPhone 6s」のApple公認再整備品(CPO)を国内では唯一取りそろえた。

 その結果、J:COM MOBILEを含むMVNOサービスにおいて1年間で10万件の純増を達成した。

累計契約数 モバイル(MVNO)サービスは10万件の純増となった
J:COM MOBILEの取り組み J:COM MOBILEの特徴。2016年度はiPhone 6sの公認再生備品を含む端末の充実と料金プランの追加に取り組んだ
iPhone 6s CPO 国内で唯一、iPhone 6sのApple認定再生備品を販売し始めた。特設Webサイトも設けているが、申し込みは電話でのみ受け付けている

MVNOサービスは「リテンション」の一環

牧俊夫会長 質疑応答に臨む牧俊夫会長

 J:COMは、本業のCATVに関連する3サービス(テレビ、インターネット、電話)にJ:COM MOBILEと電力小売サービス「J:COM 電力」を加えた5サービスにおいて「守りと攻めを併用」(井村広彦社長)して、中長期視点での経営基盤強化を図るとしている。

 その中で、現時点でのJ:COM MOBILEやJ:COM 電力は、既存サービスの「リテンション」としての要素が強い。要するに、J:COMのCATV関連サービスへの「引き留め」、あるいはこれらのサービスからCATV関連サービスへの「誘引」を目的としているのだ。

 昨今は、NTTドコモやソフトバンクも「光コラボ」を活用した光回線サービスを提供している。また、J:COMの親会社でもあるKDDIも、光回線サービスや電力小売サービスに参入している。J:COM MOBILEやJ:COM 電力は、これらの企業の「囲い込み」に対抗する手段でもある。

 そういうこともあり、J:COMのCATVサービスのエリア外でJ:COM MOBILEやJ:COM 電力を提供する考えは短期的にはないという。

事業戦略図 J:COM MOBILEやJ:COM 電力は、従来から取り組んでいるCATV関連の3サービスに対するリテンションを意図したサービス

 KDDIとの関係という点では、先述の通り競合(重複)分野が増えている一方、J:COM自身がau携帯電話の販売代理店にもなっているという複雑な関係だ。ある意味で「すみ分け」が重要な鍵となる。

 この点について、牧俊夫会長は「当社(J:COM)は(ユーザー)の家に『入り込める』ことが大きな違い。きちんと教育を受けたサービスマンが自宅へ伺って(サービスや機器の使い方に関する)アドバイスができる」と、J:COMのサポートネットワークを生かすことが一番のすみ分け要素になることを説明した。

J:COMのサポート網 J:COMは家の中に「入り込める」サポート網を持っていることが強み。J:COM MOBILEやJ:COM 電力のサービスに関する相談もできるという

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