ある意味、これが一番大きな理由かもしれない。iPhone Xから搭載している「Face ID」は確かに便利だが、生体認証でFace ID“しか”選べないのはユーザーフレンドリーとは言いがたい。iPad Airの記事でも述べたが、マスク生活が当たり前になった今だからこそ、Touch IDを復活させてほしかった。
筆者が特にストレスを感じるのは、キャッシュレス決済のシーンだ。Apple Payを使うにしても、コード決済を使うにしても、Face IDで認証(ロック解除)をする必要がある。
店員から「お支払いはいかがしますか?」と聞かれたらすぐに答えたいところだが、マスクをずらす→Face IDで認証をするというステップで数秒かかるため、若干の間が生まれる。これが微妙に気まずい。かといって、パスコードを打ち込むのは面倒だし、マスクをずらした状態で「iDで」「PayPayで」などと言うのははばかれる。
レジに到着する前にFace IDの認証を済ませておけばいいのだが、誰もレジ前に並んでいないとタイミングがつかめないこともあるし、余裕がないときも多い。普段使いはもちろんだが、キャッシュレス決済のシーンでも、Touch IDの見送りは残念だった。
個人的にはiPhone 12シリーズより「iPad Air(第4世代)」の方に魅力を感じている。こちらもiPhone 12シリーズと同様、スクエアなデザインだが、両手で握るような持ち方はしないので問題ない。YouTubeやNetflixで動画を視聴したり、電子雑誌や電子コミックを読んだりする機会が増えていることもあり、エンタメ用に自宅で活用したい。こちらも試用したが、コンテンツの視聴体験は格段に向上する。(外出先で)マスクを着用して使うことはほとんどなさそうなiPad AirにTouch IDを搭載しているというのは何とも皮肉な印象だが、トップボタン型のTouch IDもスムーズに使えた。
というわけで、今のところiPhone 12シリーズの購入予定はない。端的に言えば、「日常生活が大きく変わらないと感じている」のが理由だ。比較対象が1世代前のモデルなので大半の人にとっては当たり前の話かもしれないが、比較対象がiPhone 8世代やX、それより前のモデルなら、プロセッサやカメラでアップデートされた部分が大きく、乗り換える価値は大いにあるだろう。
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