世界を変える5G

5G時代の本命プロセッサ「Snapdragon 888」が登場 865から何が進化した?:Qualcomm Snapdragon Tech Summit Digital 2020(1/2 ページ)

» 2020年12月02日 10時49分 公開

 米Qualcommは12月1日(米国時間)に「Qualcomm Snapdragon Tech Summit Digital 2020」を開催し、同社の最新のプレミアム市場向けプロセッサ「Snapdragon 888 5G Mobile Platform」を発表した。例年、同時期にハワイで開催されている同イベントだが、新型コロナウイルスの影響で2020年はバーチャル開催となっている。現地での実機デモやベンチマークを体験できないのは残念だが、Snapdragon 888の機能詳細を含め、動画によるデモコーナーが翌2日に公開されるため、改めてレポートしていきたい。

Snapdragon 888 今回のキーワードは「888」
Snapdragon 888 米Qualcommプレジデントのクリスティアーノ・アモン(Cristiano Amon)氏。例年であればこの時期にハワイで開催されるSnapdragon Tech Summitだが、コロナ禍の中で2020年はDigital開催となり、気分だけでも、ということでハワイの背景になっている

拡充される5Gインフラと最新のSnapdragon プロセッサ

 Qualcommが初の5Gモデムである「Snapdragon X50 5G Modem-RF System」を発表したのが2016年10月のこと。OEM向けの実際の出荷開始は2018年となるが、5Gサービスの開始が2019年に1年前倒しされたことを受け、先行してデバイスメーカーに搭載製品の開発を進めてもらうのが狙いとなる。2019年4月に韓国でサービスが開始されたのを皮切りに、日本を含む各国での5G展開がスタートしている。

 一方で、iPhone 12といった最新モデルを含む多くの5G端末がいまだSub-6のみの対応にとどまっているように、各国でのインフラ展開もまたSub-6を中心にまわっている印象がある。Verizon Wirelessのように「5G Ultra Wideband」の名称でミリ波(mmWave)サービスを先行展開し、後にDSS(Dynamic Spectrum Sharing)を使って4G LTEと5G NRで面展開を行ったキャリアもあるが、カバー範囲も含め5Gが満足な状態で使える環境にはいまだ至っていないのがほとんどの国での現状だ。

 今後はSub-6だけでなく、Verizonのようにミリ波やDSSによる5Gエリアの拡大の他、5G SA(Stand Alone)基地局の設置などがより進んでいくことになる。5G SAは2020年8月に米T-Mobile USAが世界初のサービスを開始したが、Tech Summitにビデオ登場したNTTドコモ常務執行役員CTOの谷直樹氏が同社インフラでの2021年の5G SA展開の開始に触れている。ドコモでは世界に先駆けて2020年10月にSub-6 CA(Carrier Aggregation)のサービスを開始しており、着々とインフラ整備は進みつつある。

Snapdragon 888 現在はSub-6中心にまわっている印象のある5Gだが、米国では「5G Ultra Wideband」の名称でVerizon Wirelessがミリ波を先行展開しており、パフォーマンス面でのSub-6と比較しての優位性を改めて示す

なぜ命名規則が変更に?

 プレミアム市場向けの前モデルが「865」だったことを考えると、今回から命名規則が変更されたことになる。これには恐らく2つの意味があり、プレミアムティアの型番が「8xx」ということから「8」を並べたという考えと、もう1つは中国で縁起のいい数字とされる「八」を3つ合わせて“験を担いだ”という考えだ。中国語ではSnapdragon 888を「小龍888(シャオロンパーパーパー)」と呼んでいるが、OEMベンダーの多くが中国メーカーであることを考えれば、そうした市場を意識した命名なのかもしれない。

Snapdragon 888 命名規則が変更され最新のプレミアムティア製品の名称は「Snapdragon 888 5G Mobile Platform」となった
Snapdragon 888 米Qualcomm Technologies SVP兼ゼネラルマネジャーのAlex Katouzian氏が手に持つのはSnapdragon 888のプロセッサ

スマートフォンの価格やデザイン面にもメリット

 これまでSnapdragon 855+X50 5G Modem、Snapdragon 865+X55 5G Modemときて、Snapdragon 888では5Gモデムとして第3世代にあたるX60 Modem-RF Systemを採用する。この世代での最大の特徴はプロセッサとしてシングルチップにモデムが封入された点であり、前2モデルが2チップソリューションを採用し、コスト面と省電力面(さらにいえば設計の自由度)でペナルティーを抱えていた問題を解消する。現在、プレミアムティアのスマートフォンは価格帯が10万円台半ばというのも珍しくないが、2021年以降に登場するSnapdragon 888搭載のスマートフォンでは、価格とデザイン面で現行モデルよりも優位に立つ製品が増えると予想される。

Snapdragon 888 Snapdragon 888では5Gモデムとして第3世代にあたるX60 Modem-RF Systemをプロセッサ内に搭載

 Snapdragon 888のローンチパートナーとしては、ASUS、Black Shark、Lenovo、LG、MEIZU、Motorola、Nubia、realme、OnePlus、OPPO、シャープ、vivo、Xiaomi、ZTEの14ブランドが紹介されているが、このうち最初の搭載デバイスを投入するのはXiaomiで、同社の搭載製品の「Mi11」が2021年初頭にも登場することになる。

Snapdragon 888 Snapdragon 888搭載デバイスのローンチパートナーとして14社を紹介
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