MNOの相次ぐ値下げに対し、第4のキャリアとして2020年4月に本格参入を果たした楽天モバイルや、MVNO各社も何らかの対抗策を講じる必要が出てくるだろう。楽天モバイルは、容量無制限で2980円を打ち出している一方で、料金プランが1つしかないため、中容量や小容量プランが必要なユーザーのニーズを満たせていないからだ。エリアも、他の3社に見劣りするため、同じ2980円であれば、ahamoやSoftBank on LINEに移るユーザーも出てきてしまうだろう。
2020年の年末に申し込み数200万を突破した楽天モバイルだが、1年間の無料キャンペーンを展開しているため、今の段階で、実際に2980円を払っているユーザーは限りなくゼロに近い。真っ先に申し込んだユーザーの無料期間が終わるのは2021年4月7日。お試しで契約したユーザーも少なくないとみられるため、それまでに何らかの手を打つ必要がありそうだ。小容量から中容量のプランを新設すれば、MVNOから移るユーザーも取り込みやすくなる。1プランのシンプルさを捨てるかどうかは、要注目だ。
ただ、MNO各社が値下げに踏み切った結果、総務省のもくろんでいた競争の促進は、かえって停滞する恐れもある。他社に移るより、自分が既に契約しているキャリアで、料金プランなり、ブランドなりを変更するだけで、料金が下がってしまうからだ。ブランド間の移行障壁を問題視した結果、各社とも、移行手数料を無料化しているが、料金プランのように手軽にブランドを変えられるようになれば、他社に移るモチベーションはますます低くなってしまう。MVNO各社も、ユーザー獲得は苦戦することになるかもしれない。
一方で、MVNO側も、対抗策を打ち出していく必要がある。ahamo発表直後に、日本通信が1980円の「合理的20GBプラン」(ahamo開始までは16GB)をスタートさせたが、ここに追随するMVNOも出てくるだろう。MVNOが主力とする3GB前後の小容量プランも、値下げに踏み切る必要が出てくるかもしれない。現状では、音声通話対応の場合、MVNOの相場はおおよそ1600円前後。ahamoやSoftBank on LINEとは1000円以上の差があるものの、日本通信の合理的20GBプランとの差は少ない。価格にセンシティブなユーザーが多いだけに、料金プランの見直しが必要になりそうだ。
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