同社のプロパーカード(自社カード)としては初めて、年会費を完全に無料にした。これまでは非日常の特別なサービスという位置付けで年会費を有料にしてきたが、「特にコンビニ、スーパーの日常業種でカード利用回数が2.8倍になった」(佐々木氏)ことで、クレジットカードが日常生活に浸透したと判断。無料化してシンプルなサービスを目指した。
最短5分で発行される即時審査、即時発行の機能も2020年から提供しているが、これも継続する。まずはバーチャルカードが発行できるので、Apple PayやGoogle Payに登録すれば即時利用できる。
ポイントのVポイントも強化。「世の中にはさまざまなポイント制度があるが、使えない店があったり、ためられない店があったりして、利用者はポイントを使い分けたり、利用を諦めたりしていた」と佐々木氏。共通ポイントは楽天などのように経済圏への囲い込みにも使われているが、佐々木氏は「着眼している重要なポイントは、たまるけれど使える場所が限られている点。どこでも使えるポイントとして最も汎用(はんよう)性の高いポイントにしようとした」と話す。
決済でたまったポイントは、専用のVポイントアプリを通じてバーチャルカードを使った支払いに利用できる。支払いにはApple PayによるiD加盟店でのタッチ決済、Google PayによるVisaのタッチ決済加盟店におけるタッチ決済が可能。もちろんオンライン決済でも利用可能だ。
ポイントをすぐさま支払いに使えるため、有効期限切れなどの心配がなくなる。iDまたはVisaのタッチ決済加盟店、そしてオンライン決済に限られるが、特定のポイント加盟店でなくても支払いに使える点がメリットだ。Vポイントだけでなく、三井住友銀行やクレジットカードからのチャージにも対応するので、Vポイントが足りなくてもチャージして支払いに使える。ちなみに、海外でVisaのタッチ決済を使って支払う場合、現地通貨を選択すると、そのときの為替レートで即時引き落としになる(残高不足時は支払いができない)そうだ。
Vポイントアプリへのチャージで20%増量するキャンペーンも実施。Vポイントの増量は無制限で、保有しているほどお得になる。クレジットカードや銀行口座からも最大1万円チャージに対して2000円分を増量する。
なお、新しいナンバーレスカードはVisaとMasterCardが選べてどちらもタッチ決済に対応するが、バーチャルカードはVisaブランドで発行されるため、MasterCardで発行した場合もVisaのタッチ決済での利用となる。
Vポイントは現在、決済での還元だけでなく、三井住友銀行との共通ポイントとして、口座開設時の還元などでも活用されているが、SMBC信託銀行、SBI証券といったグループ企業での口座開設、金融商品購入での還元、提携企業のLINEでのサービス利用での還元プラスといったサービスも提供。Vポイントの活用範囲をさらに拡大させ、「グループの共通ポイントとして成長させていく戦略」(佐々木氏)だという。
Vポイントを配布する「Vポイントギフト」も提供。Vポイントプログラムに参加していない企業などでも、Vポイントをキャンペーンやインセンティブとして配布することが可能になっている。
三井住友カードとしては、ポイントの出口戦略として、積極的に使える場所を拡大することで、カードとポイントの利用を促進していきたい考えだ。
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