楽天モバイルに勢いが出始めたようだ。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年2月13日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。
新料金プランを発表した1月29日以降、申し込み数は4倍近いペースとなっているという。1月29日には220万という数字であったが、2月8日時点で250万を突破するまでになった。1GB未満は無料で使えるという新料金プランが支持されているだけでなく、300万契約まで1年間、無料で使えるキャンペーンの駆け込み需要がありそうだ。
楽天モバイルとしては、ようやく軌道に乗っただけでなく、現実的な計画を立てるようになってきた印象がある。例えば、基地局に関しては、当初の2万7397局で人口カバー率96%を目指すとしていたが、96%は変えずに基地局数を4万4000局にして、密度を高める計画を明らかにした。このため、当初計画の6000億円よりも3〜4割程度、設備投資費が増加するという。
その後のエリア展開は地上基地局とともに、衛星を使って人口カバー率を100%まで持っていくようだ。
目標とする契約者数などは明らかにされなかったが、「4位にとどまるつもりはない」(三木谷浩史会長)として、NTTドコモを追い抜く考えを示した。
ただ、ユーザー数が増えることで、基地局整備の投資額も増えるし、現在ではKDDIへのローミング費用も増えてしまったようだ。
KDDIへのローミング費用を減らすには、自前で基地局を整備する必要があるだけに、どちらも費用が増すという難しい舵取りを迫られている。
楽天モバイルが総務省の有識者会議に出した資料では、早晩、トラフィックがネットワークのキャパシティを超えるような指摘がされていた。しかし、この予想はあくまで、2980円で使い放題のプランしか提供していない場合を想定したものだ。
新料金プランが始まることで、使い放題でデータを流しまくる人もいれば、あまり使わない人も出てくるだろう。ネットワークの負荷を平準化するという意味においても、新料金プランは有効に機能することだろう。
楽天モバイルでは、2023年の黒字化を計画しており、三木谷浩史会長は計画通りであると主張する。
ただ、ユーザーが増えれば増えるだけ、基地局数は必要になってくるだろうし、KDDIのローミングが終わってしまえば、エリアの穴も目立つようになる。
ユーザー数が急拡大する中、いかにユーザーに不満を持たれないようなネットワークを構築できるかが鍵となるし、せっかくつかんだユーザーを離さないためにも、楽天モバイルには地道な設備投資を続けて欲しいと切に願う。
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