ただ、こうした製品群の中心に置かれるスマートフォンを発売する計画は、現時点では決まっていないという。「日本市場には、さまざまなブランドのスマートフォンが発売されている」(カ氏)ためだ。確かに、ここ数年でOPPOやXiaomiなどが新規参入を果たし、徐々にシェアを伸ばしている他、日本にはソニーやシャープ、京セラなどのメーカーもスマートフォンを展開している。中国や台湾、韓国などの一部を除けば、ここまで現地のメーカーが充実している国や地域は少ない。
少なくとも、海外メーカーにとってハードルが高い国の1つであることは確かだ。人口は1億人超で市場規模は大きいものの、FeliCaや防水・防塵(じん)などへのニーズが高く、グローバルとの差があり、ローカライズにも時間がかかる。OPPOには、こうしたノウハウがある一方で、「製品もオペレーションもマネジメントも完全に独立している」(同)ため、流用は難しい。特にrealmeがターゲットとする若年層は、iPhoneのシェアが高いため、端末を問わず連携できる周辺機器から展開するのは、戦略として合理的だ。
とはいえ、スマートフォンは同社の主力製品。発売のタイミングは、虎視眈々(たんたん)と狙っているようだ。カ氏も「スマートフォンは大事」としながら、「まずIoT製品を投入し、一定の獲得をして認知を高めてから、スマートフォンを提供していきたい」と語る。realmeのスマートフォンは、「ローエンド、ミドルレンジ、ハイエンドも3つがそろっている」といい、バリエーションも豊富。得意とするデザインで差別化していけば、OPPOとの違いも出すことができ、勝算はあるかもしれない。特に、日本では、realmeが起用する深澤直人氏の知名度が抜群に高い。
深澤氏は、かつてauでINFOBARをデザインし、同モデルはスマートフォンやAndroidベースのフィーチャーフォンとして復刻するなど、根強い人気を誇る。au初のAndroid端末となる「IS01」を手掛けたのも同氏で、スマートフォンのデザインは得意とするところ。realmeが参入済みの諸外国以上に、日本市場での反響は大きくなりそうだ。こうしたデザインが武器になれば、キャリアとタッグを組むこともできる。その第一歩になる、スマートウォッチやワイヤレスイヤフォンの販売動向は、期待して見守りたい。
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