「スマホの料金はまだ下がる?」 「PayPayとLINE Payは統合するの?」株主の質問にソフトバンク宮川社長はどう答えた?(2/2 ページ)

» 2021年06月22日 20時45分 公開
[井上翔ITmedia]
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スマートフォンの料金について

 携帯電話料金に関する質問は、携帯電話事業者の株主総会では定番である。もちろん、今回の株主総会でも質問があった。

―― これから、スマートフォンの料金はどうなっていくのでしょうか。

宮川社長 「スマートフォンの料金はまだまだ下がるのではないか?」という質問だと理解しました。

 携帯電話料金の値下げは、世の中の注目度が高いものの1つだと思っています。現在、「SoftBank(ソフトバンク)」「Y!mobile(ワイモバイル)」「LINEMO(ラインモ)」の3ブランドでお客さまの利用形態に合わせたサービスを提供しています。これからも、お客さまの要望に合わせて、お客さまに合ったさまざまなプランを提供し続けていきたいと考えています。

 一方で、通信インフラというものは「電気」「ガス」「水道」に並ぶ、4つ目の社会インフラとして重要度が増しつつあります。特に、5Gのインフラは産業の基盤となり、重要度がさらに増してきました。そのインフラの運用と、通信サービスを提供する上でのバランスの良い、最適な価格設定をしていきたいと考えています。

 携帯電話料金の値下げに対する世間の注目度は高い。とはいえ、単純に値下げをするとインフラの維持に支障を来す。そのバランスをうまく見極めた価格設定をしていきたいと考えているようだ。

「PayPay」と「LINE Pay」の重複はどうする?

 ソフトバンクは、連結子会社としてZホールディングス(旧ヤフー)を抱えている。Zホールディングスは韓国NAVER傘下のLINEと経営統合し、「ヤフー」「LINE」の2大ブランドのもとに事業を展開するようになった。

 この経営統合では、ヤフーとLINEが“競合”するサービスをどうするのかという課題がある。その1つが、スマートフォン決済サービスだ。ヤフーは、ソフトバンクやソフトバンクグループとの合弁という形で提供している「PayPay(ペイペイ)」を推進している。LINEは日本を含む数カ国で独自に「LINE Pay」を展開している。

 今回の総会でも、PayPayとLINE Payの「行方」に関する質問が出た。

―― 今後の収益貢献事業にPayPayを挙げていますが、LINE Payと統合する予定はあるのでしょうか。

宮川社長 国内のコード決済については、2022年4月をめどにPayPayに統合する予定です。一方で、海外ではLINE Payを継続して提供します。

 3月に発表された内容から特にアップデートはないようだ。

PayPayとLINE Pay Zホールディングスは3月、国内はPayPayに統合する一方で、海外ではLINE Payを継続提供する方針を示した。ここからのアップデートは特にないようだ

Zホールディングスを上場させる意味は?

 ソフトバンクは2019年12月に株式を上場した。親会社のソフトバンクグループも株式を上場している。ソフトバンクの子会社にも株式を上場している企業が幾つかある。弊社(アイティメディア)もそうなのだが(厳密にはソフトバンクの孫会社に相当)、典型例として挙がることが多いのはZホールディングスである。

 このような「親子上場」については昨今、ガバナンス(企業統治)の問題を解消する観点から解消する動きも見られる。その方法は「親会社による上場子会社株式のTOB(株式公開買い付け)」と「上場子会社株式の第三者への売却」の2つに大別される。前者については最近、通信業界でもNTT(日本電信電話)によるNTTドコモの完全子会社化の際に実施された。

 言い方を変えると、昨今は親子上場にはしっかりとした“理由”が求められる。今回の株主総会では、ソフトバンクの子会社であるZホールディングスの上場を継続させる意義を問う質問もあった。

―― Zホールディングスを上場させる理由と意義を教えてください。

宮川社長 ソフトバンクが行う事業とZホールディングスが行う事業は、対象のお客さまが一緒になるものもあれば、異なるものもあります。ビジネスモデルは(明らかに両社で)異なります。

 (Zホールディングスが)独立した上場企業として内容を開示しながら事業を展開していくことには一定の意義があると思います。一方で、ソフトバンクのグループ企業として、Zホールディングスの川邊(健太郎)社長といろいろ細かく連携して、「明日のサービス」を作ろうと話し合いもしています。

 「ソフトバンクででできること」「Zホールディングスでできること」「Zホールディングスが“中”で(ソフトバンクに依拠せずに)やるべきこと」は分析しながら、一緒に事業を展開しています。共に成長できるように、力を合わせて成長していきたいと考えています。

 少し曖昧な説明だが、ソフトバンクとしてはZホールディングスが上場していることに一定の意義を見いだしているようだ。

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