こうした改善を繰り返すことで、「ようやく裾野を広げても安心できる状態になった」(同)。満を持して投入したのが、新料金プランの「ミニプラン」だ。同プランのデータ容量は3GBで、月額料金は990円(税込み、以下同)。もともとは20GB、2728円の「スマホプラン」一択だったが、ミニプランの導入で2プラン構成になった。スマホプランと同様、LINEのトークや音声通話、ビデオ通話のデータ使用量にゼロレーティングが適用され、データ容量のカウントから除外される他、1回5分までの準音声通話定額が無料になるキャンペーンも適用される。
データ容量や料金以外では、容量超過後の通信速度やLINEとの連携で、スマホプランとの差がある。ミニプランは、3GB消費後に最大300kbpsに制限される他、スマホプランの売りの1つだった「LINEスタンププレミアム ポイントバック」も適用対象外になる。代わりに、「家族や電気サービスへの加入などの条件は一切なく、税込みで990円になる」のがミニプランの魅力だ。3GBで990円の料金プランは、どちらかといえばMVNOの水準に近い。
例えば、IIJmioの「ギガプラン」は2GBが858円、4GBが1078円で、LINEMOのミニプランが、ちょうど2GBと4GBの間に収まる料金設定になっていることが分かる。OCN モバイル ONEは3GB/月コースが990円で、LINEMOのミニプランと同額だ。LINEMOと同じMNOの場合、UQ mobileの「くりこしプランS」が、auでんきやUQでんきのセットで3GB、990円になるが、1人の契約で特別な条件なく990円という金額は、MNOの料金プランとしては破格といえる。1GB超から3GB以下が1078円の楽天モバイルに対抗する意味合いもありそうだ。
スマホプランは20GBで2728円とリーズナブルな一方で、市場全体では「低容量のお客さまが多い」(同)。MM総研のデータでは、全体の6割が3GB以下で、MVNOのLINEモバイルも「8割以上が3GB以下」(同)のプランを契約しているという。ただし、ターゲットはスマホプラン一択だったころのLINEMOから変えていない。「オンラインに対応できる方でないと、ここは難しい。eSIMにしろ、eKYCにしろ、理解はしていただかないといけない」(同)という。
若年層はデータ利用量が多いと見られがちだが、「LINEモバイルで3GB以下の方が8割いたことを考えると、コストをセーブしたいという方もいる」(同)。こうしたユーザーは、料金の高さかさからMNOの利用を諦めていたといえる。MVNOを契約しているユーザーは、もともとオンラインでの手続きと相性がいい。MNOとして運営しているLINEMOは相互接続点のボトルネックがなく、相対的に通信品質も高いだけに、ミニプランに移るユーザーも増える可能性はありそうだ。
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