ドコモの「エコノミーMVNO」で“弱点”解消なるか 対サブブランドでは収益性が課題:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2021年10月09日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

低容量プランでの流出を防ぎたいドコモ、MVNOには販路拡大が魅力に

 ドコモの狙いは、低容量の料金プランを拡充するところにある。ahamoを導入して、中容量以上のユーザーが他社に流出するのを抑えていたドコモだが、低容量の料金プランには対抗しきれていなかった。UQ mobileやY!mobileは、それぞれ3GBプランを1628円、2178円で用意している他、オンライン専用プラン/ブランドのpovo2.0やLINEMOにも低容量の選択肢がある。ドコモにもギガライト/5Gギガライトはあるものの、メインブランドの料金プランゆえに、1GBまでで3465円と割高になっていたのも事実だ。

 ドコモの営業本部長 野田浩人氏も、「低価格の料金で競い合ってきたなかで、直接対抗できる料金サービスを持っていなかった」と認める。結果として、月のデータ使用量が3GB未満に収まっていた低容量のユーザーが他社に流出する割合が徐々に上がっていたという。ahamoで中容量の流出がとどまったため、相対的に低容量のユーザーの流出が目立ってきた可能性もありそうだが、満足度も他の料金プランと比べて低く、「ニーズに十分お応えできていないというのが、喫緊の課題だった」(同)。

エコノミーMVNO ドコモからのポートアウトをデータ容量別に分析すると、3GB未満のユーザーの割合が増えているという
エコノミーMVNO 3GB未満のユーザー、特に1GB未満のユーザーは満足度が低いという結果も出ている

 一方のMVNOにとっても、ドコモのエコノミーMVNOに参画するのは、大きな武器になる。全国各地に張り巡らされたドコモショップの数は、およそ2300店舗。ここがMVNOの営業拠点、サポート拠点になれば、販売力の弱さを補うことができる。ネットや家電量販店といった販路だけでは取り込めなかったユーザーを狙うことが可能になるというわけだ。ドコモのいちプランとしての扱いを受けられれば、今まで以上にユーザーを獲得することが可能になる。

【訂正:2021年10月11日15時55分 初出時、ドコモショップの店舗数に誤りがありました。おわびして訂正いたします】

 実態はMVNOとの契約になるため、ドコモからの“料金プラン変更”でもMNP(番号ポータビリティ)の手続きは必要になるが、この手続きは全て「ドコモショップのスタッフが行うため、お客さまの手を煩わせることはない」(同)。MNPでありながら、スタッフが手続きを全て代行することで、あたかも料金プラン変更のように契約ができるようになる。MNPの手間などを考え、MVNOへの移行をためらっていたユーザーが、プラン変更の感覚で契約できるのは大きい。契約者数が最も多いドコモからの流入が、今まで以上に見込めるようになるからだ。

エコノミーMVNO MVNO側にとっては販売拠点やサポート拠点を一気に拡大できるのがメリットだ

 MVNOにとっては“おいしい”扱いを受けられることになるが、代償として、コストの増加は懸念される。先の野田氏は、「具体額は申し上げられないが」と前置きしつつ、MVNOに求める費用を次のように語る。

 「MVNOをお取扱いする際の手数料は、MVNOにご負担いただく。端末販売で回線契約に伴う値引きをする場合も、相当額をご負担いただくことになる。(中略)dポイントは、通常のdポイントクラブ加盟店と同等で、(ユーザーに)進呈するポイントに関しては、決まったレートでご購入いただく。マーケティング連携でお手伝いをした場合も、他の加盟店と同等に対応する」

 ここまでのコストをねん出できるMVNOは、一部の大手に限定される。MVNOは収益に占める回線コストの割合が非常に高く、黒字化している事業者は少ない。また、大手MVNOの一部は、既に他のMNOの傘下に入っていることもあり、エコノミーMVNOに合流するとは考えづらい。野田氏は「多様なお客さまのニーズにお応えするため、一緒にやっていける方々とは積極的にやっていきたい」と語っていたものの、この枠組みに入れるMVNOは思いのほか少ないと見ていいだろう。

【訂正:2021年10月9日9時45分 初出時、「黒字化していない事業者は少ない」としていましたが、正しくは「黒字化している事業者は少ない」です。おわびして訂正いたします】

【訂正:2021年10月29日11時50分 初出時、「大手MVNOの一部は、既に他のMVNOの傘下に入っている」としていましたが、正しくは「大手MVNOの一部は、既に他のMNOの傘下に入っている」でした。おわびして訂正いたします。】

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