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» 2021年10月16日 06時00分 公開

ドコモの通信障害はなぜ長期化したのか? 障害の告知方法やMVNOの扱いには課題も石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

[石野純也,ITmedia]

2種類ある“つながりにくい”の原因、通信障害が長期化したのはなぜか

 実際、筆者もこの通信障害の影響を受けた1人だ。それに気づいたのは、ドコモがネットワーク規制をかけた直後の17時45分ごろ。既に通信がしづらいというという話は、SNSを中心に広まり始めていた。ネットワーク規制は100%とはいえ、位置情報を登録するための制御信号にかけられていたため、データ通信には一切問題はなく、速度に関しても通常と同程度だった。一方で、音声通話はネットワークが混雑した影響を受け、ある編集部からの電話を受けることができなかった。自分から発信した場合も同様で、通信障害の影響は主に電話に集中していた格好だ。

 ドコモによると、先に挙げた影響範囲の200万人は、あくまで位置情報を登録できなかったユーザーの数に限定されている。音声通話やデータ通信だけが利用しづらかった人は算出するのが難しく、この数には含まれていない。裏を返せば、実際の影響範囲はより広いことになる。ドコモによると、前週比で音声通話は15%ほど接続が減っていた他、データ通信のトラフィックは4%減っていたという。

ドコモ 影響範囲は200万としているが、これはあくまで位置登録ができず、圏外になってしまった可能性のあるユーザーに限られる。音声通話やデータ通信が使いづらかった人まで含めると、その数はさらに広がりそうだ

 ユーザー視点で見ると、いずれも“つながりにくい”の一言で片付けられてしまうが、原因は主に2つある。1つが位置情報の登録に起因するもの。これは、ドコモ側がネットワークを守るために規制をかけた結果で、大幅な移動をした人や、フライトモードでいったん電波を切った人などが該当する。対象となった200万のユーザーに関しては、ネットワーク自体に接続できず、いわゆる「圏外」の状態になる。この状態だと、電話もデータ通信も利用できない。

 もう1つが、ネットワークの混雑によるもの。先に挙げた筆者の例はこちらで、音声通話がつながりづらくなったり、データ通信が開始しづらくなったりする。トラフィックの落ち込みは前週比で4%減と少ないため、どちらかといえば音声通話への影響の方が大きかったことが伺える。ネットワーク規制を解除した19時57分には取りあえず電波をつかむようにはなったが、その後も不安定な状態は続き、完全に回復したのは翌15日の5時5分と長期化した。

ドコモ 15日8時20分時点でのお知らせ。5時5分には、4G、5Gの通信しづらい状況が解消された

 障害発生の直接的な原因は、HSSをロールバックする際に旧設備の処理能力を超えてしまったことだ。その処理能力を高めるために行っていた切り替えで失敗してしまったのは、ドコモにとって不運だったといえる。ただ、旧設備の処理能力に対する見積もりが甘かったのは、ドコモ側の過失だ。この点はドコモも認めており、10月下旬までに対応策を講じていくという。また、移行先の設備で障害が発生した際の切り戻し手順も同時期までに見直しを行い、再発防止を図る。原因がIoT端末用の設備移行の失敗だったため、LTE導入期のように通信障害が頻発するということはなさそうだ。

ドコモ ドコモでは、処理能力の見積もりを見直すとともに、切り戻し手順の再確認を行うという

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