スペックではバッテリー容量の小ささが気になるところだ。バッテリー容量は2500mAhで、iPhone 13 mini並みに小さい。BALMUDA Phoneバッテリー消費という面で不利なAndroidプラットフォームを採用し、比較的高速なプロセッサを備えて、かつディスプレイもフルHDとサイズ感の割に高解像度となると、電池持ちではかなり厳しいのではないかとも思う。
ソフトバンクが公開しているスペック情報から4G LTE網での連続通話時間を参照するとBALMUDA Phoneは260時間となっている。競合モデルではAQUOS zero6が約610時間、Xperia 5が約510時間などとなっており、BALMUDA Phoneの電池持ちはその半分以下ということになる。動画再生など負荷のかかる動作をすると、おのずと電池消費が気になってくるだろう。
寺尾社長がBALMUDA Phoneで掲げたコンセプトは「スマホは人が、よりよく生きるための補助道具である」だ。これは小さい画面と少ないバッテリーが、スマホに熱中させるようなカメラやSNS、ゲームアプリの利用から遠ざけるという意味合いがあるのかもしれない。ただしこのアピールは、うがった見方をすると、実用面での体験価値を削ぐような仕様の“言い訳”となっている可能性はないか。
BALMUDA Phoneは良くも悪くもバルミューダらしい寺尾社長の情熱とセンスから生まれたスマホだ。手に取ったときの持ちやすさは確かに今のスマホで軽視されがちな部分に答えている部分もある。「1%の人に刺さるデバイス」としては必要な要件を満たしつつ、スマホとしての実用性も及第点にあるとは思える。
バルミューダはBALMUDA Phoneを皮切りに、スマートデバイスを順次投入していく方針を示しており、2022年には“スマホではない”大画面デバイスを投入する構想があることも明らかにしている。開発方針としては扇風機のように数年間ほぼ同じ設計で売る形ではなく、小ロットで製造して、売り切るごとにモデル更新によって機能を更新していく方針だという。
一方で不安が残るのは、継続的なサポートだ。スマートフォンというデバイスは「売った限りで終わる」ものではなく、満足な体験を生むためには、アプリを継続的に改修し、OSバージョンアップをタイムリーに提供していく必要がある。
今後、独自アプリのバリエーションを増やしていく中で、継続的なサポートを提供し続けることができるか、バルミューダの本気度が試されるところだろう。
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