「BALMUDA Phone」に落胆の声が多かった理由 “スマートフォンの本質”を改めて考える石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2021年11月20日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 高級家電メーカーとして知られるバルミューダが初めて開発したスマートフォンが、11月16日に発表された。発売は11月26日を予定。同社自身でメーカーモデルを販売する他、キャリアではソフトバンクが独占的に取り扱う。インテリアに調和する優れたデザインや、一点突破的に磨きをかけた機能を備えた家電を投入して知名度を上げてきたバルミューダだが、スマートフォンでも大手メーカーの端末に対してアンチテーゼを投げかけた。

 大型化する端末に対し、あえて4.9型のディスプレイを採用。ボディーも直線的なデザインが多い昨今のトレンドとは異なり、曲線のみで構成した。ところが、端末発表直後からネットでは賛否両論が噴出。肯定的に捉える向きもあったが、どちらかというと否定的な意見の方が多かった印象だ。こうしたリアクションからは、スマートフォンという製品を開発する難しさも浮き彫りになる。

BALMUDA Phone バルミューダがスマートフォン市場に参入。その第1弾として投入されるのがBALMUDA Phoneだ

既存のスマートフォンに対するアンチテーゼとして開発されたBALMUDA Phone

 「今の世の中のスマートフォンは、あまりにも画一的になってしまった」――バルミューダの代表取締役社長、寺尾玄氏はこう語りながらBALMUDA Phoneを紹介した。寺尾氏の言葉に代表されるように、同モデルは既存のスマートフォンにアンチテーゼを投げかけた1台だ。ディスプレイサイズを拡大するため、スマートフォン全体が大型化している中、BALMUDA Phoneは4.9型と小型のディスプレイを採用。トレンドである直線的なデザインも採用せず、「河原に落ちている石」(同)をほうふつとさせる、丸みを帯びた形状に仕上げた。

BALMUDA Phone ディスプレイサイズはわずか4.9型。コンパクトで持ちやすいのが特徴だ
BALMUDA Phone 石をモチーフにしたという丸みを帯びたデザイン。直線的で、ガラスや金属が使われる昨今のスマートフォンとは真逆の方向性だ

 寺尾氏が「どこにも直線がない唯一のスマートフォン」と言うように、背面だけでなく、ディスプレイ側にもわずかながら膨らみを持たせた。金属やガラスといった硬質感のある素材についても、「全てピカピカで、半年、1年使っていくとどんどん劣化していく」と一蹴。革製品や木材、デニムといった味の出る天然素材の質感を目指し、背面には特殊な塗料で加工を施している。こうした仕上げから、見た目や手触りは確かに既存のスマートフォンとは一線を画している。

BALMUDA Phone デザインは社長である寺尾氏自らが手掛けた。直線を一切使わず、曲線だけで外観をまとめ上げている

 ハードウェアだけでなく、ソフトウェアにも独自の工夫を施した。「普段使いの基本アプリを全部作り直した」(同)というように、スケジューラーや電卓、時計、メモ帳などは、全てオリジナル。OSにはAndroid 11を採用しているものの、Androidに含まれる基本アプリは使用せず、独自の使い勝手を目指した。Androidスマートフォンの中には、開発コストとの兼ね合いもあり、独自アプリを縮小しているものもある中(特に日本メーカーに多い)、新規参入のメーカーが細部にわたって作り込んでいる姿勢は評価できる。

BALMUDA Phone
BALMUDA Phone スケジューラーや電卓などの基本アプリは、バルミューダ自身で開発。ホーム画面やアプリで世界観を追求している

 一方で、それがゆえに価格が上がってしまったのも事実だ。バルミューダ自身が販売するメーカー版は10万4800円(税込み、以下同)。ソフトバンク版は、「新トクするサポート」の利用を前提にしている節もあり、本体価格は14万3280円とさらに高額だ。もちろん、このぐらいの価格は、各社のフラグシップモデルでは一般的で、特筆するような価格ではない。ただし、10万円を超える端末は、あくまでハイエンドであることが条件だ。

BALMUDA Phone 価格は10万4800円。ソフトバンク版は14万円を超える

 これに対し、BALMUDA Phoneはいわゆるミッドハイのスマートフォンになる。プロセッサにはQualcommのSnapdragon 765を採用し、6GBのメモリと128GBのストレージを内蔵。カメラは4800万画素と画素数こそ高いが、シングルカメラで超広角カメラや望遠カメラ、マクロカメラなどには非対応だ。カテゴリーとしては、OPPOの「Reno5 A」やXiaomiの「Mi 11 Lite 5G」に近いといえる。これらの競合となる端末が4万円前後で販売されていることを踏まえると、率直に言って「高い」と評さざるを得ない。

BALMUDA Phone スペックだけを見ると、ミッドハイのスマートフォン。しかも4万円前後の端末より、仕様面で負けている部分もある
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月26日 更新
  1. 「0.2秒で冷却」をうたうペルチェ素子搭載の腰掛けファン Amazonで53%オフ (2026年07月24日)
  2. ドコモが「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」を値上げ 一部機種は残価も引き上げ、実質負担額の影響は? (2026年07月24日)
  3. 330円で手に入る「足元灯」「非常灯」 充電式になって利便性向上 (2026年07月25日)
  4. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  5. 従来の健康保険証は7月31日で利用不可に 8月1日以降は「マイナ保険証」の利用を (2026年07月24日)
  6. サムスンが「Galaxy Z Fold8」で横長折りたたみを投入する理由 AIの進化にもマッチ、“iPhone包囲網”も万全か (2026年07月25日)
  7. 界面活性剤とマイクロファイバーでタッチパネルをきれいに! ダイソーで220円の「スクリーンクリーナー」を試す (2026年07月25日)
  8. モトローラから新しいミドルレンジスマホ「moto g37」シリーズ登場 ソフトバンク、楽天モバイル、ドコモも取り扱い (2026年07月24日)
  9. なぜ「LINE VOOM」は嫌われたのか 保護者を悩ませた“子供たちの抜け道” (2026年07月24日)
  10. ダイソーで330円の「人感・明暗センサーLEDバーライト(Type-C)」が意外と便利 1人暮らしの帰宅時や非常灯に便利  (2026年07月18日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー