スマートフォン・オブ・ザ・イヤー審査員が選ぶ「2021年を代表するスマホ」5機種(3/3 ページ)

» 2021年12月27日 15時31分 公開
[井上晃ITmedia]
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石野氏:“スマホ”を変えた「Galaxy Z Fold3 5G」と、日本市場で本気を出し始めたXiaomi

・推薦機種……Galaxy Z Fold3 5G、Galaxy Z Flip3 5G、Xperia PRO-I、Pixel 6 Pro、Mi 11 Lite 5G

石野純也 石野純也氏

 選定基準はスマートフォン市場に爪跡を残したかどうか、という部分です。自分で挙げていて驚いたのはiPhoneが入らなかったということ。それだけAndroidが個性を出そうと頑張った1年だったのだと思います。実際、縦に折れるもの、横に折れるもの、1型カメラを備えたもの、AIによる文字起こし機能を備えたもの――などユニークなものばかり。これまでスマートフォンとしての外観がある意味画一化していた中で、本質的な部分を変えようという動きがあったと感じました。

 中でもGalaxy Z Fold3 5Gは、画面を開くと小さいタブレットくらいのサイズ感になるので、使い勝手が良いです。初代で不具合があったり、2世代目も防水がなかったり、おサイフケータイ対応がなかったり、とまだまだ粗削りで試作機感のあったシリーズですが、今回は防水もおサイフケータイもしっかり押さえて良くやったなという印象があります。さらに、Sペンまでサポートしていて、Noteシリーズを継承する存在なのだろうと感じました。「スマートフォンの使い方が変わるな」と思わされた一台です。20万円を超える価格は安くはありませんが、国内なら端末購入補助プログラムも利用できます。カメラ一色になりつつあるスマホ市場で、カメラ以外で個性を発揮しているという点でも、評価しています。

Galaxy Z Fold3 5G これまでの弱点を解消させて、Noteシリーズの要素も加えた「Galaxy Z Fold3 5G」

 1型センサー搭載については、AQUOS R6もありますが、実際使ってみると撮るのが難しかったです。一方、αシリーズで培ってきた高速連写や高速AFをうまくマッチさせているXperia PRO-Iについては、さすがソニーと感じる部分がありました。

 また、今までここでPixelシリーズのフラグシップを挙げたことはなかったかもしれませんが、Pixel 6 Proは一皮むけた印象があります。Tensorを自前で作ったことによるAI処理能力の高さが大きい。これをもしカメラだけに生かしていたのなら、ここまで評価していなかったでしょうが、文字起こしや翻訳など、「AIはカメラのためだけじゃないよ」とちゃんと見せてくれたところを評価したいです。デザインもこれまで高い素材を使っているのに安っぽく見える処理をしてしまっている印象でしたが、今回はそのひねくれたところがなくなっていると思います。

 ミドルレンジでは、Xiaomiが頑張っている印象がありました。ソフトバンクと組んで2万円の端末を出したり、おサイフケータイに対応したりと、今までのXiaomiにはなかったチャレンジが見られました。OPPOの市場を奪いにきているとも思える意欲的な部分があったと感じています。

太田氏:みんなが待っていた“ソニーの端末”がようやく戻ってきた

・推薦機種……Pixel 6 Pro、Xperia PRO-I、Galaxy Z Fold3 5G、motorola razr 5G、AQUOS sense6

太田百合子 太田百合子氏

 持ったときにワクワクした端末を選んでいます。Pixel 6 Proのポイントはオンデバイス化で、ローカルでこれだけいろんなことができるようになったのは衝撃でした。当然、カメラに関してはオンデバイス処理は以前からありましたが、音声認識や翻訳はスピード感に驚かされました。一方で、こなれていないところもまだあります。例えば、Google翻訳を起動するとクラウドにつながってしまってオンデバイス翻訳にならないことなどは気になりました。とはいえ、エポックメイキング的なポジションになるのは間違いないでしょう。

 Xperia PRO-Iは、“みんなが待っていたソニーの端末”ってこれだろうな、と感じました。もちろん今までのXperiaも完成度はすごく高かったですけれど、ソニーだからこその突き抜けた感がありませんでした。昔のソニー製品ってすごくとがっていて、それに私たちはワクワクしていたんです。今回のXperi PRO-Iにはその“とがり”を感じました。

 Galaxy Z Fold3 5Gは、3世代目になって剛性が上がったことに感動しました。折れ曲がるディスプレイなのに防水に対応しています。この形でSペンが使えることも、この先にあるスマートフォンのすごさみたいなものを感じられるポイントだったと思います。金額的に私は手が出ませんでしたが、本当に欲しいと思えた製品でした。

 縦折りのフォルダブルについては、皆さん挙げられているGalaxy Z Flip3 5Gとrazrとで悩みました。ただ、開くのがちょっと面倒だなと思って、開かずにサブディスプレイで決済などちょっとしたことができるという点で、razrを選びました。ただし、まだこなれていない部分はありますけれどね。実は、こちらの代わりに「コールマン」とコラボした「TORQUE 5G」を入れるかということもすごく悩んだのですが、市場における新しさの点で、今回はフォルダブルの方を選びました。

 ミドルについては、AQUOS sense6とOPPOのReno5 Aを候補に挙げましたが、悩んで前者のみを入れました。シャープは2021年、ハイエンドからローまで頑張っていたと思うのですが、かえってこの機種と1つを挙げづらかった側面もあります。その中で、senseは挙げられるな、という判断です。

ITmedia Mobile編集部:ハイエンド機種の風向きが変わってきた

・推薦機種……Xperia PRO-I、Pixel 6、AQUOS R6、OPPO Reno5 A、Xperia 10 III

 2021年は、ハイエンドの風向きが変わってきたと感じています。メーカーの色がより濃く出たり、1型センサーを搭載したり、自社開発チップを搭載したり……そのあたりが目立った印象です。

 Xperia PRO-Iに関しては、ソニーが復活してきたことを象徴するような端末でした。これまでハイエンドは苦戦してきて、Xperia 1で立て直して、3世代出して、ミッドレンジでしっかりとシェアを回復させて、ハイエンド系も「好きを極める」というコンセプトで展開しています。その中で、カメラに特化したProシリーズを出しました。今後のプロシリーズも、ゲーミング系やオーディオ系向けにとがったものが出てくるのかなという期待感も抱かせるようなインパクトがありました。

 Pixel 6の評価ポイントは皆さんおっしゃる通りで、AIに関連した開発チップの部分です。翻訳や文字起こしなど、カメラ以外の日常生活で新たなシーンを作り出したという部分を評価しました。Proは少し大きすぎるのかな、というところでPixel 6にしています。

 AQUOSもこれまでsenseは売れつつも、ハイエンド系がいまひとつインパクトが乏しかった印象がありました。一方、AQUOS R6は複眼カメラが一般化している中で、あえて単眼で1型センサーを採用して、違った方向性にかじを切ってきました。私(田中)も実際に購入して、フォーカスのスピードが遅くてなかなか扱いづらいところもあるのですが、個人的には許容範囲。スマホの画面で見ても、やはり写りがキレイなので、満足度は高かったです。佐野さんもおっしゃっていましたが、デザインも小慣れてきている。ハイエンドスマホを持つ喜びみたいなものを感じられる一台ということで、選びました。

AQUOS R6 1型センサーのカメラを搭載して、ハイエンドスマホとして一皮むけた感のある「AQUOS R6」

 ミッドレンジはXiaomiのMi 11 Lite 5GとOPPOのReno5 Aで悩みました。OPPOは3世代目で機能も小慣れてきて、販路も広い。BCNランキングでも、OPPOの方が上位に出ていて、実際に支持されているということで、OPPOに分があると思います。

 Xperia 10 IIIは、島さんのXperia Ace IIの話と少し被りますが、ソニーのシェア奪還の起爆剤になった機種の1つですね。こちらも非常に売れていて、各種ランキング見るとAce IIと10 IIIの2モデルは、いまだ上位にいます。1 IIIのエッセンスをちりばめ、ミッドハイとしてしっかり存在感を出したことを評価しました。

ハイエンド部門とミッドレンジ部門で各5機種がノミネート

 審査員が選んだ5機種を集計し、ハイエンド部門とミッドレンジ部門の上位5機種をノミネート機種として選出しました。

ハイエンド部門

  • 1位……Xperia PRO-I(7票)
  • 2位……Pixel 6 Pro(6票)
  • 3位……Galaxy Z Flip3 5G(4票)
  • 3位……AQUOS R6(4票)
  • 5位……Galaxy Z Fold3 5G(3票)
スマートフォン・オブ・ザ・イヤー ハイエンド部門のノミネート機種。左上から「Xperia PRO-I」「AQUOS R6」「Pixel 6 Pro」「Galaxy Z Flip3 5G」「Galaxy Z Fold3 5G」

【訂正:2021年12月30日11時30分 初出時、ハイエンド部門のノミネート機種の画像に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】

ミッドレンジ部門

  • 1位……Mi 11 Lite 5G(4票)
  • 2位……AQUOS sense6(3票)
  • 3位……OPPO Reno5 A(2票)
  • 4位……Redmi Note 9T(1票)
  • 4位……motorola edge 20(1票)
スマートフォン・オブ・ザ・イヤー ミッドレンジ部門のノミネート機種。左から「Mi 11 Lite 5G」「AQUOS sense6」「OPPO Reno5 A」「Redmi Note 9T」「motorola edge 20」

 ハイエンド部門は1位にXperia PRO-I、2位にPixel 6 Proがランクイン。3位にGalaxy Z Flip3 5GとAQUOS R6が並び、5位がGalaxy Z Fold3 5Gです。ミッドレンジ部門は1位がMi 11 Lite 5G、2位がAQUOS sense6、3位がOPPO Reno5 A。決選投票を経て、Redmi Note 9Tとmotorola edge 20が4位にランクインしています。

 この後、各部門で審査員が配点をした上で、ナンバーワン機種が決まります。果たして、各部門のノミネート機種5つの中から栄冠を手にする機種はどれか? 結果は12月中に掲載予定の次回レポートをお待ちください。

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