2018年12月から2019年12月中旬までに発売されたスマートフォンの中からベストな機種を選出する「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2019」。12月中旬に実施した審査会では、各審査員がノミネート候補に挙げた機種について語りました。
審査員がノミネート候補に挙げた機種のうち、上位10機種をノミネート機種として選定し、この中から1機種を、2019年のベストスマホとして選びます。2019年のノミネート機種は以下の通りです(発売日順)。
審査員は、ITmediaなどで活躍し、1年間を通じて携帯電話業界を取材してきた石川温氏、石野純也氏、太田百合子氏、佐野正弘氏、島徹氏、房野麻子氏、村元正剛氏、山根康宏氏(五十音順)の8人と、ITmedia Mobile編集部(2人で1人扱い)の計9人。
各審査員には、1人あたり25点の持ち点が与えられます。25点のうち、1位の機種には10点、2位以下の機種には1機種9点を上限として残りの15点を自由に配分できます。
審査員どの機種にどう点数を投じたのでしょうか? 審査員の皆さんがどのように点数配分をしたのか、その理由もコメントしてもらいました。
石川氏の配点とコメントは、以下の通りです。
自分の中で(Galaxy Foldの最高点は)最初から決まっていました。Galaxy Foldは実際に買って使いましたし、関係者を褒めたたえたいですね。米国メディアに貸し出され、数日で画面が割れた、表示できなくなったなどの報告が相次ぎましたが、数カ月でそうした問題を改善し、秋のタイミングで発売できました。
日本でもサムスン電子ジャパンとしては出したいという思いもあったでしょうし、その意志を受け取ったKDDIも大したものだと思いました。分離プランでキャリアが攻めた端末を出しにくくなる中で、あえて24万円の端末を調達したところは評価できますし、そうした気合は忘れてほしくないですね。
今後は、3万円台と24万円のスマホを純粋に比較するよりも、ミドルとハイエンドを別々に評価したいと感じました。
石野氏の配点とコメントは、以下の通りです。
どの機種も完成度は高く、2019年は特に配点が難しかったと思います。その意味で、本当は全てに10点を付けたいところでしたが、配点のルール上、10点と2点と1点にそれぞれ分けて配点しました。ただし、Xperia 1と5はほぼ同じスペックで主な差分は本体サイズの違いなので、初めに新たなXperiaとして方向性を打ち出したXperia 1にのみ2点を付けています。
Galaxy Foldは、おサイフケータイに対応していないですし、Sペンも使えず、それなりの厚みもありますし、欠点は目立ちますが、ディスプレイを曲げられることがこんなに未来的だったのかという、触ったときの感動――。これが大きかった。
5G時代になると、大画面や高精細が必要になるといわれていますが、確かに、今のスマートフォンのサイズだと、いくら高精細の映像といっても限界がある。Galaxy Foldのような形は、より大きなコンテンツを精彩に見たいというニーズを満たすための、1つの解でしょう。今はまだ粗削りで価格も高いですが、これが「次の時代の普通」になる可能性も十分あると思います。技術的には困難も多かったと思いますが、欠点を補って余りある新しさやコンセプトを示せたということで、Galaxy Foldに10点を付けています。
ただし、他の端末も10点に近い評価で、点数が許すなら、10点以外は全て9点にしたいくらいでした。Reno Aは推薦理由でもお話しした通り、価格の安さとOPPOの本気に驚きました。P30 Proは、スマホであそこまでズームでき、それなりに実用的な写真を撮れたこともあって、いよいよデジカメを持ち歩かなくてよくなるかなという期待を持たせてくれました。
Xperia 1はソニーの復活を期待させました。iPhoneは値段を下げてきて、広角カメラを持ってきて、苦手としていた夜景撮影を克服してきました。他社が既に搭載している広角カメラで改めて話題を作れたのはiPhoneの実力を見せつけられた気がしました。Galaxy Note10+はトータルでの完成度が非常に高く、Sペンが便利です。Galaxy Foldの陰に隠れてしまった感はありますが、この端末は自分も買い、今でも使っています。
Pixel 3aは「こういうやり方があったのか」というミドルレンジの作り方が斬新でした。今回はノミネートに挙がらなかったXiaomiの「Mi Note 10」も共通していますが、ハイエンド機ほどの処理能力がいらなくても、カメラは最上級のものが欲しいというニーズはあると思います。Pixel 3aはAIの力を使って、センサーも同じにして、画質はPixel 3とほぼ変わらないまま、CPUをミドルにして5万円台にまで値段を下げたことがユニークでした。
AQUOS sense3はもう少しインパクトが欲しかったという意味を込めて1点にしていますが、あの値段でSnapdragon 600シリーズやおサイフと防水が載っているので、こうした評価とは関係なく、ヒットする端末だと思います。見方によっては八方美人な配点になっているかもしれませんが、スマホの完成度が上がり、求められる価格や機能が多様化しつつある“今”の状況を反映したものだとご理解いただければと思います。
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