バルミューダのスマートフォン「BALMUDA Phone」が1月上旬に販売停止となったのち、14日に販売再開となった。
原因は一部の周波数帯域で干渉ノイズが許容値を超える可能性があったという。通話やデータ通信などには影響がなく、ユーザーが困るようなことは発生しなかったようだ。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年1月15日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
今回のいきさつとしては、製造を担当する京セラがミスに気がつき、バルミューダとソフトバンクに連絡。まずはショップ店頭で販売停止となり、その状況がSNSにアップされ、メディアが広報に問い合わせ、記事化されたという流れだ。
わずか1週間程度でアップデートにより対処できたのは素晴らしいが、メディア対応という点においては、いささか反省すべき点が残ってしまった。
そもそも、今回のトラブルはユーザーに被害が起きることもなく、実際はたいしたことない内容だ。あわててショップに販売停止させる必要があったのか。
あらかじめソフトウェアアップデートを用意しておき、配布時に技適を満たしていなかったので修正したという案内をすれば良かったのではないか。
今回、ショップでの販売停止の告知がSNSでアップされ、変な話が拡散されてしまったことで、バルミューダのイメージがまたも毀損(きそん)してしまった。
しかも、3連休中に盛り上がってしまったため、ネタ枯れで困っている月曜日のテレビのニュース番組が飛びついてしまった。内容としては大したトラブルでもないのに「バルミューダのスマートフォンが販売停止になった」という事実だけがテレビで拡散。さらに各局がYouTubeに動画を流すものだから、一般的にも広がるようになってしまった。
なんだか京セラの勇み足になっていた感がある。
アップデートで簡単に対処できるのだから、販売停止時に「数日で再開できる見込み」とアナウンスするだけでもイメージは違ったはずだ。
世間から見れば、最初の「販売停止」という話だけで「売れなかったから、もう販売を辞めるのか」という誤ったイメージを植え付けられた人もいるのではないか。
今回の騒動により、またもBALMUDA Phoneのイメージが悪くなり、バルミューダだけが損して終わった。
もうちょっと慎重に情報発信のやり方を工夫していれば、ここまでのダメージにはつながらなかったはずだ。
昨年のNTTドコモ通信障害といい、トラブル発生時にいかにSNSと一般メディアに対して、どのようなタイミングで適切に情報を発信していくか。広報のやり方が改めて問われることになりそうだ。
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