自宅での固定回線代わりになる? 通信制限が緩和された「WiMAX +5G」を徹底的に試してみた5分で知るモバイルデータ通信活用術(2/2 ページ)

» 2022年03月16日 17時00分 公開
[島田純ITmedia]
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それでも「力不足」を感じる場面はある

 自宅の固定インターネット回線の代わりにWiMAX +5G回線を使うのは、思った以上に実用的……なのですが、それでも力不足を感じるシーンが2つあります。

 1つは、動画や写真を大量にアップロードする場面です。先述の通り、WiMAX +5Gはダウンロードは速い一方で、アップロードが遅いという欠点を抱えています。クラウドストレージの利用など、多数あるいは大きなデータをアップロードする機会の多い人は、できる限り固定インターネット回線の導入を検討した方が良いと思います。

 もう1つは、同時に複数のデバイスでデータ通信を行う場面です。

 ある日、筆者のPCではテレワーク、子どものタブレットではオンライン学習のためのWeb会議アプリ、Fire TV Stickでは動画のストリーミング再生を同時に行っていました。ここまでは何の問題もなかったのですが、この状態でスマートスピーカーにコマンドを送ったり、「Radikoアプリ」でラジオのストリーミング再生をしたりしようとするとタイムアウト(応答が遅すぎるためのエラー)が発生することがありました。

 要するに、連続した大きめのデータ通信を行っている際に別のデバイスからインターネットにアクセスをしようとすると、応答が異様に遅れてしまうことがあるのです。これは、普段の光回線では発生しない現象です。

 ちなみにこの状態でも、Fire TV Stickでのストリーミング再生で「遅すぎてバッファが間に合わない」ということはないのですが、読み込みが突然止まるという事象がまれに発生しました。これも普段の光回線では起こりません。

コマンド送っても…… Google Nest Hubで「電気つけて」と話しかけた図。普段ならこれで照明がすぐに付くのですが、別のデバイスが大きめのデータを連続してやりとりしていると、応答が遅れたり、遅れすぎてエラーになったりすることがありました

 これらの問題は、WiMAX +5Gの電波環境が良くなって、実効通信速度が改善すれば解消する可能性もあります。ただ、インターネット通信にある程度の「安定性」や「信頼性」を求める場合も、固定回線を導入することをできる限り検討すべきだと思います。

 ただし「集合住宅の固定回線が遅くて耐えられない」「建物の物理的な条件で固定回線を導入できない」といった人にとって、WiMAX +5Gは新しい“福音”となったことは間違いありません。

WiMAX +5Gホームルーターは持ち運べる(au契約を除く)

 WiMAX +5Gに対応するホームルーターのメリットの1つとして、利用場所を問わないというメリットがあります(auの「ホームルータープラン 5G」を除く)。今回の検証では、旅行先にL11を持って行って使う検証も行いました。

 ホームルーターは、自宅や事務所での据え置き利用が前提です。そのため、モバイルルーターと比べると本体は大きく、電源アダプターも専用のものを使うことになります。そのため、本来であれば持ち運びには適しません。

 しかし、本体が大きい分、モバイルルーターよりも高感度のアンテナを搭載しやすいため、モバイルルーターでは通信が不安定になる場所でも安定した通信を行えることがあります。これはモバイル通信だけでなく、Wi-Fi通信でも同様です。

 旅先では、天候不良などによって外出することが難しい状況になることもあります。安定するインターネット接続を得られるとも限りません。滞在先でも自宅と同じようにインターネットを楽しめる環境を整えるべき――これが筆者の持論。だからこそ、ホームルーターを持ち運ぶのです。

持ち出す図 実際に旅行先に持ち出したL11

 UQの「WiMAX 2+」は、都市部以外において通信品質が良くなかったり、そもそも「圏外」だったりすることも良くありました。au 4G LTEエリアも利用できる「ハイスピードプラスエリアモード」を併用すればこれらの問題を解決できるものの、利用した月は1100円の追加料金が掛かる上(契約条件によっては無料)、月間7GBの通信容量制限が設けられています。

 それに対して、WiMAX +5Gでは「スタンダードモード」でもau 4G LTE/au 5Gの一部エリアを無料で利用できる他、エリアカバーを広げる「プラスエリアモード」における通信制限がスタンダードモードに影響しなくなりました。スタンダードモードはau 4G LTEのメイン帯域である800MHz帯を利用できないものの、それでもWiMAX 2+よりもエリアが広いため、実用性が増しています。

 ホームルーターであれモバイルルーターであれ、WiMAX 2+を利用しているユーザーはWiMAX +5Gにするだけでストレスが相当に減ると思います。乗り換えを前向きに検討してみましょう。

モバイルルーターの例 WiMAX 2+を契約している人は、WiMAX +5Gへの乗り換えを検討すると幸せになれると思います(画像はWiMAX 2+対応の「Speed Wi-Fi NEXT WX06」
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