「OPPO Reno7 A」インタビュー:“長く使えるスマホ”の本気度、デザイン刷新の裏で起きたこと(2/4 ページ)

» 2022年06月17日 18時00分 公開
[石井徹ITmedia]
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製造コスト20%上昇も、小幅な値上げに抑えた

―― 昨今の市場では、半導体不足が深刻化しているが、Reno 7 Aの製造や販売に影響はあるのか。

河野氏 半導体不足そのものについては、あまり実感がありません。OPPOはグローバルで製品を製造・販売するメーカーです。世界規模のサプライチェーンを構築していて、世界で製品を販売しています。世界でスマートフォンを製造・販売している強みがあるため、「半導体不足が足りない、買えない」とおっしゃっている他のメーカーさんよりも、調達力では上回ると考えています。

OPPO オウガ・ジャパン専務取締役の河野謙三氏

 ただし、価格については頭を悩ませています。製造原価、コストについては2021年から20%ほど上がっています。また昨今の円安により、為替レートの変動に伴うコスト上昇も影響があります。この影響を価格に全て転嫁するべきかは、社内で継続して議論しています。

 今回、OPPO Reno7 Aは4万4800円(税込み)という希望小売価格を設定しています。2021年の「Reno5 A」よりも1000円高く設定していますが、コスト上昇と為替の影響を全て価格に反映させることはしていません。販売価格の差分について、企業努力でカバーしているという現状です。

OPPO メーカー希望小売価格は4万4800円

日本のデザイン会社と4カ月間に渡り検討

―― デザインについて。プレゼンテーションでは“日本の著名デザイン会社”の協力で検討を重ねたと紹介された。具体的にどのようなプロセスで実施されたのか。

李氏 デザインの検討は2021年の夏から秋に、4カ月かけて実施しました。オウガ・ジャパンのメンバーの他、OPPOの本社のデザインチームから10人、パートナーのデザイン会社から18人で総勢40人ほどが参加し、色や素材、形状を検討しました。

河野氏 デザイン協力を行った日本企業については、先方から非開示とするように希望があるため、企業名をお伝えすることはできません。ただし、皆さんが日常生活の中で一度は目にされているような、日常的な製品のデザインを多くてているような業界では著名な企業です。

OPPO カラーバリエーションはドリームブルーとスターリーブラックの2色

黒川氏 Reno7 Aでは“0.5歩先”の作り込みを大事にしています。一歩先の技術やデザインは、使い始めるときは目を引きますが、だんだん飽きてきてしまう。それが“0.5歩先”なら、飽きずに長く使い続けることができます。

―― カラーバリエーションはシンプルな白系色と黒系色の2色だが、この色合いを選んだのはなぜか。

李氏 日本向けモデルの背面素材には光沢感とマット感を持つ 「OPPO Glow」を採用しました。この素材は中国向けのモデルで投入していたものですが、日本のユーザーに受け入れられるかどうかも詳しく検討を行っています。結果として、Reno7 Aでは、ドリームブルーとスターリーブラックという2色を選定しました。

―― これまでの日本向けモデルのデザイン選定と比べて、40人のチームで4カ月という体制は大規模なものなのか。また、そこで得た知見はあるか。

李氏 デザイン選定では、CMFと呼ばれる色彩・素材・仕上げを総合的に検討するプロセスで実施しています。プロダクトデザインとしては一般的なものですが、ただカラーバリエーションを検討しただけでなく、握ったときの感覚や重さなどを、さまざまな素材や色合いのカラーチップを並べて検討しています。

 これまでも日本向けモデルの開発に当たってはニーズを踏まえた検討を行っていますが、日本において4カ月という期間にわたり、多くの人数、予算をかけて行ったのは今回が初めてです。プロダクトデザインのトレンドは1〜2年で移り変わるものではないため、今後の製品開発にも継承できると考えています。

OPPO オウガ・ジャパンのプロダクト部 部長の李毅(リ・タケシ)氏

李氏 私はOPPOの日本参入から外国人として日本市場に関わっていますが、今回の調査に触れて、驚いたことがありました。それは、日本では両極端な色合いが好まれることです。

 例えば、マンガや歌舞伎に代表されるような鮮やかな色合いが多くの支持があります。一方で、庭園やお寺のようなシンプルで淡い色合いも根強い人気があります。真逆の色彩の両方が好まれている中で、どちらをより重視し、素材や手触りまで作り込んでいくかという検討を行いました。

―― ユーザーニーズを重視して機能を選ぶ中で「ニーズはあるが、泣く泣く搭載を見送った要素」はあるか。

李氏 たくさんありました(笑)。デザインで言うなら、まずはカラーバリエーションの厳選は悩みました。「0.5歩先のデザイン」と言っても具体的に何を表現すれば良いのかは明確ではありません。デザイナーとともに、翌年のトレンドを先取りするようなさまざまなカラー、質感を追求しました。

 たんさんの候補から絞り込みを進めたのですが、結果として、グラデーションを取り入れつつも、さらさらとした手触りの「OPPO Glow」に落ち着きました。

OPPO Reno7 A ツヤ感とマットな手触りが同居する「OPPO Glow」という独自加工を採用

李氏 細かい点では、FeliCa(おサイフケータイ)のアンテナをどの位置に置くかについても、OPPO本社の開発側とデザインチームの間で多くの議論を重ねました。開発側からすると、アンテナが設置しやすいのはカメラに近い部分ですが、デザイン上で使いやすい位置はそこではありません。複数の設置位置について激しく議論を交わして、最終的に中央の上部に置くことになりました。

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