スマートフォンについては、防水・防塵(じん)やおサイフケータイといった日本仕様も、積極的に取り込んでいく構えだ。藤岡氏は「一番のボリュームゾーンはミドルレンジで、ここはメーカーも多いが販売量も多い」としながら、「5Gと防水・防塵、FeliCaの3つはマストだと考えている」と断言する。
残念ながら、8月に登場する第1弾の製品は非対応になる見込みだが、「開発には既に着手している」といい、第2弾、第3弾での採用は期待できる。こうしたニーズに取り込んでいく方針からも、JENESISのaiwaブランドに懸ける意気込みが伝わってくる。
当初はECや法人向けの展開が中心になるが、「MVNOのモデルにもチャレンジしていきたい」という。オープンマーケットを中心しながら、まずはMVNOへと販路を広げていく見込みだ。
一方で、キャリアモデルは「考えていない」と同氏。「例えばeSIMを入れ、好きなキャリアを使っていただく方が、ある意味われわれらしい。現時点での規模感では、キャリアとの相互接続の問題などにリソースを割けるのかというのもある」というのが、その理由だ。MVNOではソラコム向けの製品も開発したことがあり、「近い関係にあるので、eSIM的なアプローチは考えていきたい」という。
黒子として長年、設計や製造を行ってきたJENESISが手掛けるだけに、一般的な新規参入とは異なり、製品のクオリティーに対する心配は少なくなりそうだ。深センに拠点を構えているだけに、昨今の半導体不足の影響も軽微だという。
「SoCやメモリは去年(2021年)ほどではないが、マイコンやドライバICなどは相変わらず不足している。例えば6軸センサーのようなものはいまだにない。普通の日本の会社だと、フォーキャスト(予想)を1年前に出し、長いイメージで取引をしないと来ないかもしれないが、そこはさすが深セン。持っている人は持っているので、高値で数千個単位なら譲ってもらえるソースは開拓した。その地の利は非常に大きい」
とはいえ、黒子が長かっただけに、コンシューマーに直接販売するとなると、マーケティングや宣伝などが課題になりそうだ。藤岡氏も、率直に「ここは私たちがまったくやってこなかった部分」と認める。「例えばソースネクストどういうふうにマーケティングをしていきたのか。弊社には元フリーテルの社員もいるが、当時、増田さん(現・TAKUMI JAPAN代表の増田薫氏)がどうやっていたかも調査し、われわれなりの計画を立てていきたい」。
その一環として、8月の発売に先立ち、製品発表会も別途開催する予定。写真が公開されている製品群の詳細な仕様やaiwaデジタルの戦略も、ここで明かされる。そのときを心待ちにしたい。
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