もう「万が一」ではない 通信障害の被害を防ぐための自衛手段(3/3 ページ)

» 2022年07月05日 11時40分 公開
[田中聡ITmedia]
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固定回線を持つかどうか

 先述したeSIMを利用するには、プロファイルをダウンロードするのに、別途Wi-Fiなどの回線が必要になる。外出先にいれば公衆Wi-Fiを利用すればよいが、自宅にいるなら固定回線が必要になる。通信障害が発生してからeSIMを契約しようとしても、Wi-Fiがなければ、eSIMの設定ができなくなってしまう。

 もちろん通信障害に備えるためだけに固定回線を持つ必要はないだろうが、固定回線があって自宅の中でWi-Fiの環境を確保できていれば、通信障害が起きても、データ通信を用いてメッセージを送ったりLINE電話を使ったりして連絡を取ることはできる。

 最近はモバイル回線を利用した固定通信の代替サービスも増えているが、通信の冗長性や安定性を考えると、固定回線を持っていない人は、これを機に検討してみるのもいいだろう。

公衆電話の場所を把握しておく

 サブ回線を持っておらず、固定回線やWi-Fi環境もない状況で通信障害に遭遇してしまったが、すぐに連絡を取りたい――そんなときは公衆電話を使うしかない。携帯電話の普及ですっかり利用機会の減ってしまった公衆電話だが、いざというときのために使える連絡手段として、自宅や職場の近くにある公衆電話の場所を把握しておきたい。

 NTT東日本NTT西日本のWebサイトで、地域ごとの公衆電話の設置場所を検索できるので、確認しておくといいだろう。

KDDI NTT東西のWebサイトから公衆電話の場所を調べられる

スマホ決済にも代替手段を

 通信障害が起きた際に、よく聞くのが「スマホ決済が使えず買い物ができなくなってしまった」という話だ。ここでいうスマホ決済とは、PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイなど、QRコードやバーコードを表示させたり、店頭のバーコードを読み取ったりして支払うサービスのことを指す。これらのサービスではバーコードを表示させたり、決済したりする際にデータ通信が必要になるため、圏外では利用できなくなる。

KDDI 決済に使用するQRコードを表示させるのに通信が必要になる

 そこで、対応機種をお持ちなら、スマートフォン自体は圏外でも利用できる、FeliCaの非接触決済サービスに登録しておくといいだろう。具体的にはiD、QUICPay、Suica、楽天Edy、nanaco、WAONなどだ。ただしこれらのサービスも、決済端末側で通信が必要になる場合があるため、利用回線に障害が起きていると決済できなくなる可能性はあるが、決済手段は複数確保しておくにこしたことはない。

 そして究極の対策は、やはりいざというときのために「現金」も持ち歩くことだろう。


 ここまで、通信が不通になることの影響と対策を説明してきたが、1人暮らしか、家族と暮らしているか、固定回線があるかないかなど、生活環境によってそのインパクトや対策方法は変わってくる。自分の生活環境を考えながら、“万が一とは言えなくなった事態”に備えていただきたい。

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