決済サービスの「Square」がPayPayに対応した。同社としては国内初のQRコード決済対応で、追加費用なく既存のSquareでPayPayが利用できるようになる。米Block(日本のSquareの米国本社)のSquare ペイメント グローバルマーケティング責任者のEd Lin氏に話を聞くとともに、新しいPayPay対応Squareをチェックした。
SquareのPayPay対応では、利用客がPayPayアプリで店舗のQRコードを読み取るMPM方式を採用する。ただ、一般的な店頭にQRコードを掲示するタイプではなく、Squareハードウェアや店舗側のスマートフォン画面上に表示する動的店舗提示型のQRコードを利用する。
固定したQRコードを使わないため、レジ周りなどにQRコードを張り付けたPOPなどを設置する必要がない。画面を搭載したSquareターミナルやSquareスタンドに加え、スマホアプリ「Square POS」を使ってQRコードを表示できるので、画面のないSquareリーダーでもPayPayでの決済が利用可能。
Square自身は、米Blockの関連会社が提供するCash Appで既にQRコード決済には対応している。今回、初めて日本でのQRコード決済対応としてPayPayをサポートした。
PayPay対応は、日本でのコード決済の利用が拡大しているからだ。コロナ禍もあって日本ではキャッシュレス比率が増加し、その中でコード決済がキャッシュレス決済に占める割合も5.6%に達して拡大している(2021年)。その中でPayPayは3分の2のシェアを占めており、まずは利用者の多いPayPayへ対応した。
Lin氏は「日本市場にとってコード決済は極めて重要」との認識を示し、対応を決めたという。日本では他にも多くのコード決済サービスがあるが、Lin氏は「Squareでは常に新しい決済手段を検討していて、その中で別のコード決済を検討することはある」と述べるにとどまり、現時点では明確な対応予定は聞けなかった。
ちなみに、PayPayのQRコードはLINE Payとも互換性があるが、Squareで利用するQRコードは、現時点でLINE Payでの読み込みには対応していない。PayPay対応後の加盟店側のニーズ次第で対応を検討する。
今回の仕組みを導入するにあたって、Lin氏は「加盟店にとって素晴らしい体験を提供すること」を目指したという。そのため、動的店舗提示型を採用し、利用客側が読み取るだけで金額も確定して、入力の手間や入力間違いなどの心配がないようにした。しかも、QRコードを店頭に掲示する必要がないので、レジ周りのデザインもスッキリする。
実装の難しかった点についてLin氏は、PayPayが部分返金に対応していない点や、加盟店契約に必要な情報が異なる点を上げるが、Cash Appの経験もあり、それほど難しくなかったようだ。
実際に試してみると、店舗側は通常の決済と同じように入力し、最後の決済手段選択でPayPayを選べばいいだけなので簡単。QRコードが画面上に表示されたら、それを利用客に見せてアプリで読み取ってもらって支払いを行う。QRコードの有効時間は1分間なので、期限が過ぎたらもう一度決済をやり直す必要がある。
支払いが終わったらSquare側の画面がすぐに切り替わるので、決済が確実に完了したのも明確に分かる。最後にレシートを紙で発行するか、メール・SMSで送信するかを選択して決済が完了する。基本的には、QRコードを客に示すこと以外は通常の決済と変わらない。
部分返金ができないというPayPayの仕組み上、返金する場合は決済全体を取り消す必要があるが、現行のUI(ユーザーインタフェース)を確認したところ、現在は部分返金ができているように見えるUI(実際は返金されない)状態だった。この点は修正する予定だという。
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