通信障害や災害に備えて――「モバイル回線」の多重化を考える5分で知るモバイルデータ通信活用術(3/3 ページ)

» 2022年10月04日 18時45分 公開
[島田純ITmedia]
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実体験:ドコモの通信障害の際にpovo2.0が役立った

 筆者はメインの携帯電話回線としてドコモを契約していますが、サブ回線としてpovo2.0などを契約しています。

 2021年10月にドコモの通信障害が発生した際に、ちょうど飛行機で九州から東京に戻るタイミングでした。データ通信が全然できなくなり、このままでは空港に移動するための鉄道やバスの時刻を調べられず、バスのチケットも購入できず、オンラインチェックインもできない……という状況に陥りそうになりました。

 たまたま、この日はpovo2.0のSIMカードを持っていて、すぐに「データ使い放題(24時間)」のトッピングを購入することで事無きを得ました。非常時に異なるMNOの回線を持っていることのメリットを改めて実感できた次第です。

povo2.0のSIMカード povo2.0のSIMカードを持っていたので、筆者はドコモの通信障害を“回避”できました

非常用回線としては日本通信の「合理的シンプル290プラン」もアリ

 au/UQ mobile/povoを既に契約している場合は、povo2.0をバックアップ回線とするのは効果薄です。別のMNOを利用する通信サービスを検討する必要があります。

 そこでお勧めしたいのが、日本通信の「合理的シンプル290プラン」です。このプランはドコモ回線を利用しており、1GBのデータ通信付きで税込み月額290円から利用できます。音声通話は30秒当たり11円で使えます。

 メイン回線としてドコモ(と同社回線を使うMVNOサービス)以外を使っている場合は、このプランを検討するのも良いでしょう。

日本通信SIM MVNOサービスであれば、日本通信の「合理的シンプル290プラン」が1GBの通信が付帯して税込み月額290円で維持できます。容量が足りなくなった場合は1GB当たり税込み220円で購入可能です。なお、回線はドコモのものを利用しています

家族や知人にも「バックアップ」の重要性を説こう!

 このように、自分でバックアップ回線を確保することはそう難しいことではありません。しかし、自分の家族や知人まで範囲を広げると、少し話はややこしくなります。

 家族で携帯電話を契約する場合、多くの人は「家族割」のような割引プログラムを理由に同じキャリアで契約していると思います。そうなると、そのキャリアで障害が発生すると、家族の誰とも連絡が付かなくなる可能性があります。家族にもバックアップ回線を用意しておくのが得策ですが、その分、ある程度の負担増は覚悟しなければなりません。

 家族ならまだどうにかなりますが、知人に「バックアップ回線を」というのは他人にも経済的負担を強いる点で問題になりそうです。しかしながら、普段から「バックアップ回線は持っていた方がいいよ」とメリットを説くことはアリだと考えます。

「災害用非常Wi-Fi」は頼れる通信手段になるか?

 バックアップの通信手段を確保する観点では、自然災害などが発生した際に、普段は有償提供している公衆Wi-Fi(無線LAN)を無償開放する「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」という取り組みもあります。

 00000JAPANは、事前の登録や手続きなしに使えることが大きなメリットです。しかし、災害時に稼働することを想定しているため、現時点では特定のキャリアにおいて通信障害が発生した際には使えません。また、バックボーン回線としてモバイル通信を使っているアクセスポイントの場合、大元のモバイル回線に通信障害が起こると、そもそも使えない(00000JAPANを有効化できない)恐れもあります。そしてモバイル通信との一番大きな違いとして、移動しながら使えないというポイントも見逃せません。

 念のため付け加えておくと、筆者は00000JAPANの理念やサービス自体は素晴らしいと考えています。しかしながら、平常時(=自然災害が起こっていない)際の通信障害に対しては、先ほどの筆者の例にもある通り、モバイル回線の多重化の方が効果的と考えます。

00000JAPAN 00000JAPANに関する情報は、無線LANビジネス推進連絡会のWebサイトで確認できます

 無料の公衆Wi-Fiサービスの中には、本人確認のためにSMS認証を採用していることがあります。00000JAPANが発動していない場合、このようなサービスを利用することも1つの“手”ではありますが、SMSを受信するための携帯電話に通信障害が発生していると、認証の段階でコケてしまいます。

 災害によらない通信障害も含めて考えると、モバイル通信回線の多重化は利便性が高く、備えるためのコストもそれほど高いものではありません。最近のMNOにおける通信障害に困ったという人もそうでない人も、これを機に自分自身と身の回りの家族/知人の通信の“多重化”を検討することをお勧めします。

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