総務省は11月4日、「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」の改訂案を公表した。いずれの改訂案も12月5日まで意見聴取(パブリックコメント)を実施し、必要に応じてその結果を反映した上で(追記や誤字/脱字の修正などを行った上で)、早期に改訂される予定だ。
電気通信事業法第27条の3では、移動電気通信(携帯電話)事業者の「禁止行為」が定められている。ただし、その具体的な適用基準は「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」によって別途規定されている。
今回、このガイドラインの一部について、総務省の「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)」が9月に取りまとめた「競争ルールの検証に関する報告書2022」を踏まえて改訂することになった。主な改訂内容は以下の通り。
(※1)回線契約にひも付く利益提供は税別2万円を上限とする(無線通信設備を持つMNOと、契約数が100万件を超えるMVNOに適用される)
(※2)税別価格が2万円以下の端末は代金の全額、在庫処分などを理由とする値引きは代金の50〜80%引き(当該端末の発売時期による)、通信サービスの終了に伴う移行措置としての値引きは最大で代金の全額の値引きが可能(全額値引きの場合は端末代金を超える利益提供はできない)
総務省では、携帯電話事業者の乗り換え(MNPを含む)の促進や中古携帯電話端末の普及を目的として「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」を定めている。
今回、競争ルールの検証に関する報告書2022を踏まえて、このガイドラインも一部が改訂される。主な改訂内容は以下の通りだ。
なお、このガイドラインのうち、今回改訂される予定の部分と前回改訂された部分については、汎用(はんよう)的に利用できない端末(組み込みモジュールなど)には当面適用されないことになっている。
総務省では公正取引委員会と共同で「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」を定めている。この指針では総務省が所管する電気通信事業法と、公正取引委員会が所管する独占禁止法の両方の観点から、携帯電話事業者を含む電気通信事業者の競争に関する基本的な考え方がまとめられている。
今回、競争ルールの検証に関する報告書2022と、公正取引委員会が2021年6月に公表した「携帯電話市場における競争政策上の課題について(令和3年度調査)」の結果を踏まえて指針の一部が改訂されることになった。
改訂内容は一部表記の修正が主だが、「競争を一層促進する観点から事業者が採ることが望ましい行為」として「携帯電話サービスにおける乗換え時のスイッチングコストの低減」が追加されている。この項目は端末メーカーに対する指針を示しており、経営判断の範囲内で、可能な限り多くのバンドに対応する端末を製造するように求めている。
3つのガイドライン/指針の改訂に関する資料は、全て総務省本庁(中央合同庁舎2号館:東京都千代田区)にある総合通信基盤局 電気通信事業部 料金サービス課で配布されている。また、電子政府窓口「e-Govポータル」の「パブリック・コメント」コーナーでもデータをダウンロードできる。
パブリックコメントを提出する場合は、それぞれのガイドライン/指針に対する「意見公募要領」をよく読んだ上で、以下のいずれかの方法で提出しよう。なお、電気通信事業分野における競争の促進に関する指針の改訂に関するパブリックコメントは、公正取引委員会でも提出を受け付ける(どちらか片方に提出すればよい)。
(※3)ファイルの添付には対応しない(添付が必要な場合は電子メールまたは郵送で対応)
(※4)書面でコメントを提出しても構わない。ただし、場合によっては電子データ(テキストファイル、Wordドキュメント、一太郎ファイルのいずれか)での再提出を求められる場合もある(電子データはCD-R/RWかDVD-R/RWに記録して提出)
(※5)郵送の場合は締め切り日必着となる(締切日以降に到着した場合は受理されない)
なお、意見が1000文字を超過する場合は、意見の要旨も添付(記載)する必要がある。また、個人のパブリックコメントは匿名で公表されるので、意見が公表された場合でも「身バレ」はないので安心しよう。
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