総務省が携帯電話に関する3つの「ガイドライン/指針」の改定案を提示 パブリックコメントを募集中

» 2022年11月07日 22時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 総務省は11月4日、「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」の改訂案を公表した。いずれの改訂案も12月5日まで意見聴取(パブリックコメント)を実施し、必要に応じてその結果を反映した上で(追記や誤字/脱字の修正などを行った上で)、早期に改訂される予定だ。

電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン

 電気通信事業法第27条の3では、移動電気通信(携帯電話)事業者の「禁止行為」が定められている。ただし、その具体的な適用基準は「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」によって別途規定されている。

 今回、このガイドラインの一部について、総務省の「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)」が9月に取りまとめた「競争ルールの検証に関する報告書2022」を踏まえて改訂することになった。主な改訂内容は以下の通り。

  • 販売代理店に支払う「手数料」「奨励金」や「評価指標」に関する考え方の明確化
    • 携帯電話事業者が定めた不適切な評価指標が原因で、販売代理店が法令の限度(※1)を超える利益提供(値引きやキャッシュバックなど)を行った場合、当該電気通信事業者も監督者として行政命令を受ける
  • 端末の在庫区分や、その区分を理由とする販売拒否に関する考え方の明確化
  • 価格訴求をする店頭広告物(ポスターや価格表など)に対する考え方の明記
    • 端末の単体販売時と回線セット販売時で価格が異なる(≒端末代金に回線契約を条件とする値引きが加味される)場合は、価格差がハッキリと分かるようにする(参考記事
  • 回線契約を条件とする利益提供の上限の例外(※2)と、回線の新規契約を条件とする利益提供を併用する場合の考え方の整理
    • 両方の値引きを併用する場合は、例外規定の上限額を超えないようにする必要がある
  • 「継続利用割引」に当てはまる条件と、継続利用を条件とする一部販売施策に関する考え方の整理

(※1)回線契約にひも付く利益提供は税別2万円を上限とする(無線通信設備を持つMNOと、契約数が100万件を超えるMVNOに適用される)
(※2)税別価格が2万円以下の端末は代金の全額、在庫処分などを理由とする値引きは代金の50〜80%引き(当該端末の発売時期による)、通信サービスの終了に伴う移行措置としての値引きは最大で代金の全額の値引きが可能(全額値引きの場合は端末代金を超える利益提供はできない

追記例 手数料/奨励金や評価指標の設定が原因で、代理店が契約者に対して法令の限度額を超える利益提供(端末代金の値引きやキャッシュバックなど)を行った場合は、代理店を監督する携帯電話事業者も行政命令の対象となることが明記された

移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン

 総務省では、携帯電話事業者の乗り換え(MNPを含む)の促進や中古携帯電話端末の普及を目的として「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」を定めている。

 今回、競争ルールの検証に関する報告書2022を踏まえて、このガイドラインも一部が改訂される。主な改訂内容は以下の通りだ。

  • 携帯電話事業者の端末メーカーに対する過剰な干渉を禁止
    • 端末の対応通信規格や周波数帯(バンド)について、他社の規格/バンドを非対応とする圧力を掛けてはいけない
    • 競争を阻害する恐れがある他の機能制限についても、正当な理由なく行った場合は業務改善命令の対象となる
  • 利用者への情報提供の充実
    • 他の携帯電話事業者(MNOを想定)における通話とデータ通信の可否を説明するように努める
    • 持ち込まれた端末が自社のメインバンドを利用できない場合のエリアマップを示すように努める(他社の端末を持ち込んで新規契約などをするケースを想定)

 なお、このガイドラインのうち、今回改訂される予定の部分と前回改訂された部分については、汎用(はんよう)的に利用できない端末(組み込みモジュールなど)には当面適用されないことになっている。

改訂案 今回は携帯電話事業者が端末メーカーに“口出し”することの制限と、端末が発売キャリア以外で使われることを想定したユーザーへの説明の拡充を求めるように改訂される

電気通信事業分野における競争の促進に関する指針

 総務省では公正取引委員会と共同で「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」を定めている。この指針では総務省が所管する電気通信事業法と、公正取引委員会が所管する独占禁止法の両方の観点から、携帯電話事業者を含む電気通信事業者の競争に関する基本的な考え方がまとめられている。

 今回、競争ルールの検証に関する報告書2022と、公正取引委員会が2021年6月に公表した「携帯電話市場における競争政策上の課題について(令和3年度調査)」の結果を踏まえて指針の一部が改訂されることになった。

 改訂内容は一部表記の修正が主だが、「競争を一層促進する観点から事業者が採ることが望ましい行為」として「携帯電話サービスにおける乗換え時のスイッチングコストの低減」が追加されている。この項目は端末メーカーに対する指針を示しており、経営判断の範囲内で、可能な限り多くのバンドに対応する端末を製造するように求めている。

指針の改定 今回の指針改定では「電気通信事業者」と範囲を絞っていた表記の一部を「事業者」と改めた上で、端末設備の製造業者(端末メーカー)に対して可能な限り多くのバンドに対応する端末を製造するように求めている

パブリックコメントの応募方法

 3つのガイドライン/指針の改訂に関する資料は、全て総務省本庁(中央合同庁舎2号館:東京都千代田区)にある総合通信基盤局 電気通信事業部 料金サービス課で配布されている。また、電子政府窓口「e-Govポータル」の「パブリック・コメント」コーナーでもデータをダウンロードできる。

 パブリックコメントを提出する場合は、それぞれのガイドライン/指針に対する「意見公募要領」をよく読んだ上で、以下のいずれかの方法で提出しよう。なお、電気通信事業分野における競争の促進に関する指針の改訂に関するパブリックコメントは、公正取引委員会でも提出を受け付ける(どちらか片方に提出すればよい)。

  • e-Govの「意見提出フォーム」(※3)
  • 総務省が指定するメールアドレス宛の電子メール
  • 総務省が指定する住所への郵送(※4)(※5)
  • 総務省が指定する電話番号へのファックス(※4)

(※3)ファイルの添付には対応しない(添付が必要な場合は電子メールまたは郵送で対応)
(※4)書面でコメントを提出しても構わない。ただし、場合によっては電子データ(テキストファイル、Wordドキュメント、一太郎ファイルのいずれか)での再提出を求められる場合もある(電子データはCD-R/RWかDVD-R/RWに記録して提出)
(※5)郵送の場合は締め切り日必着となる(締切日以降に到着した場合は受理されない)

 なお、意見が1000文字を超過する場合は、意見の要旨も添付(記載)する必要がある。また、個人のパブリックコメントは匿名で公表されるので、意見が公表された場合でも「身バレ」はないので安心しよう。

総務省資料 e-Govで総務省が11月5日に公示したパブリックコメントを検索すると、今回改訂される予定のガイドライン/指針がヒットする。必要な資料は、e-Govのガイドライン/指針の個別ページの他、総務省のニュースリリースページからもダウンロード可能だ

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