「COCOA」は役に立たなかったのか? 誕生から終了までに起きたこと

» 2022年12月02日 16時32分 公開
[山本竜也ITmedia]

 厚生労働省は11月17日、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」の最終アップデート版「3.0.0」の配信を開始しました。利用者は、画面の指示に従って機能を停止でき、その後にアプリをアンインストールすることになります。要するに、COCOAの提供を終了するということです。

 COCOA自体はアップデートを待たずにいつでもアンインストールが可能ですが、これまでのバージョンではアプリのアンインストールをしても、接触確認のために定期的な処理が動作し続ける仕様となっており、わずかながら通信やバッテリー消費などが発生し続けていたとのこと。そのため、3.0.0にアップデートし機能停止後のアンインストールが推奨されています。

 なお、3.0.0は簡単に機能を停止できるというだけであり、旧バージョンでも機能停止はできる他、アンインストール後にもOSの設定から停止は可能です。

COCOA 機能停止となった新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」

 COCOAがリリースされたのは、2020年6月のこと。パンデミックが宣言され、国内で初めて緊急事態宣言を実施。5月25日にその緊急事態宣言を解除する際に、政府は6月中に公開する接触確認アプリの利用を呼び掛けていました。

 6月19日にCOCOAがリリースされましたが、Android版には陽性者との接触があっても通知されない、iOS版は初回起動時にBluetoothの利用を許可しないと起動しなくなるなど、さまざまな不具合が発生していました。このため、リリース直後から、ネット上ではネガティブな意見が多く見られることとなりました。

 COCOAは、オープンソースプロジェクトとして開発されていた「COVID-19Radar」をベースとしていますが、本来、批判を受ける必要がない「COVID-19Radar」にも批判が寄せられていたとのことです。通常、こうした批判が増えると代替アプリが登場するところなのですが、感染確認アプリに関してはAppleとGoogleが「1国1アプリ」という制限を設けていたため、COCOA以外には選択肢がない状況でした。こうしたことから、COCOAを利用しないという選択をした人もいたようです。

 では、COCOAは役に立たなかったのかというと、そういうわけではありません。幸い、筆者はCOCOA経由で陽性者との接触を通知されることはありませんでしたが、ネット上では、COCOAからの通知をきっかけに検査を受けたという人も多くいました。

 COCOA自体は、陽性として登録された人と1m以内かつ15分以上いた場合でないと通知を出しませんが、COCOAログチェッカーなどを利用すると、15分以内やBluetooth圏内に陽性登録者がどれだけいたかも確認できます。これを利用して独自に感染リスクを回避したり、活動圏内での感染状況を把握したりといったことも行われていたようです。

COCOA COCOAのログを詳細に確認できる「COCOAログチェッカー」

 こうしたリスク軽減に生かせる機能は、感染拡大が落ち着きつつある今こそ有効活用できるのではとも思うのですが、COCOAが利用している「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」が、陽性者の全数届出の見直しを行うこととなり、COCOAを継続できなくなりました。陽性者の登録が限定的となるため、COCOAで陽性者情報が得られなくなるわけです。

 COCOAが果たした役割や、その有効性について、次のパンデミックを見据えた総括を行うとしています。この統括の参考にするため、最終アップデート版「3.0.0」では、アプリ内でアンケートが用意されており、接触通知の発生回数などの調査が行われています。送信される情報は、「利用者の年代」「利用者の通勤通学の有無」「アプリ利用開始日」「接触通知発生回数(日次)」の4項目。個人を特定するような情報は送信されていない他、この4項目についても希望しないものに関しては送信しないことも可能です。

COCOA 最終アップデート版では、機能停止の他アンケート調査が実施されています

 次のパンデミックが訪れないことが一番ではありますが、大人数に一斉にアプリを利用してもらった例として、そのデータを活用する機会は他にもいろいろとありそうです。

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