野村総合研究所が、2028年度までのICT(情報通信技術)とメディア産業について、国内市場での動向分析と市場規模の予測を発表した。
通信サービスの事業者間競争では「楽天モバイルの低容量有料化による影響」と「大規模通信障害への対策」をキーワードに挙げ、従量制に加えて通信の品質によって料金が決まる新たな料金プランの可能性を指摘。各種手続きのオンラインシフトが加速する中、携帯電話販売代理店はオフラインチャネルの必要性、役割、収益確保策を検討すべきだとしている。
競争相手は同じ通信事業者だけでなく、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)などデジタル世界で圧倒的なシェアでサービスを展開する事業者へと変化。成長目標を達成するためにはGAFAMとの競争か協力かを選択する必要があり、競争の場合はGAFAMではカバーしきれないリアルの接点が強みになるという。6G時代は通信速度の向上、遅延減少、消費電力抑制といった進化に伴い、ユーザーニーズを正しく見極めて継続的に価値を高める重要性も訴える。
消費者にとってライフラインとなったスマートフォンは、より没入性やコミュニケーションの共有性を満たす新たなデバイスの登場が待ち望まれる。ユーザーがスマートウォッチ、スマートスピーカーなど新たな体験ができる端末への投資を進める中、メーカーのキーワードとして「廉価版スマートフォンのラインアップ拡充」と「スマートウォッチなどの周辺機器への進出」を挙げている。
携帯電話端末の販売代理店は高齢者向けのスマートフォン教室や修理といった周辺の顧客ニーズに対応したサービスの拡充、整備やサポートが充実した中古品の販売など、携帯市場が縮小する中で新たな収益構造が必要だとしている。
詳細は東洋経済新報社が12月23日に発売する「ITナビゲーター2023年版」に掲載されている。
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