「1円端末」や「プラチナバンド獲得」の行方は? 2023年に注目すべきモバイル業界のトピック:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2023年01月07日 11時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

大手3キャリアのARPU反転なるか、鍵は5G拡大と中・大容量プラン

 2021年の料金値下げラッシュの影響を引きずる形で減益に見舞われた大手3キャリアにも、一服感が出ている。2022年11月に開催された決算説明会で、ソフトバンクの代表取締役社長兼CEOの宮川潤一氏は、「魔の3年の終わりが見えた」とコメント。ドコモの代表取締役社長、井伊基之氏も、11月の決算説明会で「ARPUは今年度(2022年度)の4000円程度を底に下げ止まるのではないか。そういった予兆は出ている」と語っていた。

宮川潤一郎 値下げ影響がピークアウトする見通しを示したソフトバンクの宮川社長
井伊基之 ドコモの井伊社長は、ARPU反転に期待感をのぞかせた

 直接的なトリガーになっているのは中・大容量プランを契約するユーザーの伸びだが、その理由は動画などのコンテンツ視聴が拡大しているところにある。例えばドコモの場合、2022年度第2四半期でahamoや「5Gギガホ プレミア」などの料金プランが1000万契約を突破。前年同期比で30%の伸びを示している。5Gの契約者数も、前年同期比2.3倍の1602万契約に拡大した。動画などのスマートフォンで楽しむための大容量コンテンツが整い、5Gの伸びと相まって中・大容量プランの契約数も拡大。結果としてARPUが下げ止まるという理屈だ。

ドコモ ドコモは、中・大容量プランの契約者数が順調に伸びているという

 また、KDDIの代表取締役社長、高橋誠氏も2022年1月の決算説明会で「5Gユーザーのトラフィックは4Gの2.5倍超」と話している。こうしたトレンドは、グローバルで一致している。通信機器ベンダーのエリクソンが2022年12月に発表した「Ericsson Mobility Report」によると、スマートフォン1台あたりのデータ使用量は、2022年の世界平均で15GBに達しているという。これが、2028年には46GBと、2倍強まで拡大する見込みだ。コンテンツやサービスが出そろい、通信や端末の性能が向上したことがこの伸びを後押ししているという。

5G 5Gへの切り替えでトラフィックが伸びることを示唆するKDDIの高橋社長。移行促進の意義をたびたび強調している
5G グローバルでも、スマートフォン1台あたりのデータ使用量は増加傾向にある。資料はエリクソンの「Ericsson Mobility Report」

 一部の国や地域では、「(5Gをオプションにして追加料金を取る)段階的な料金を設定したり、5Gの中で(コンテンツを)パッケージ化して差別化をしていたりする」(エリクソン・ジャパン CTO 藤岡雅宣氏)というが、日本ではこうした取り組みが手薄だ。5Gの導入と料金値下げのタイミングが一致してしまったことが、キャリアにとって不運だったといえる。KDDIはauの料金プランにNetflixやDAZN、Apple Musicといった人気のコンテンツをバンドルしているものの、他社には広がっていない。「5G化しても収益が上がらなければ、(キャリアが設備投資する)インセンティブにならない」(同)というわけだ。

5G グローバルでは、5G契約に追加料金を取るキャリアが25%程度存在するという。出典は同上

 とはいえ、中・大容量プランの比率が増えれば、ARPUの底上げにはつながる。大手各社が11月、12月に相次いで発表した春商戦向けの料金プランも、10GBや20GBといった中容量のものが中心だ。また、KDDIは低容量向けの料金プランにあたる「ピタットプラン 4G/5G」の新規受付を終了し、新たに「スマホミニプラン 4G/5G」を導入する。スマホミニプランは4GBが上限で最大6215円(税込み)と、データ使用量によってはピタットプランより割高になる。これも、auブランドはデータ容量が無制限の「使い放題MAX 5G/4G」に集中していく表れと見ていいだろう。

 とはいえ、5Gの契約者が増えても、通信速度が上がらなければ意味がない。特に日本は設備投資の遅れもあり、エリアや通信速度が先行する他国に及んでいない。「基地局の密度を見ても、人口1000人あたり1を割っている」(藤岡氏)上に、大容量化を実現するMassive MIMOも「まだまだ入っていないのが日本の課題」(同)といえる。ARPUの反転が実現したあと、このような5Gの環境整備をどこまで進められるかが問われそうだ。

5G 日本は近隣諸国と比べ、5Gのエリアやスループットが見劣りする。この点をどう挽回していくかが課題といえそうだ
前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月12日 更新
  1. ダイソーで1100円のノイキャンイヤフォン「TWS009」を試す 騒音カットの効果は実感も電池持ちに課題か (2026年10月09日)
  2. 資産3000万円以上が対象 MUFG「エムット」最上位サービスと“年会費無料”アメックス・プラチナの魅力とは (2026年10月08日)
  3. ダイソーで1100円の「GaN USB充電器」は折り畳みプラグで外出用に持ち歩きやすい 45W出力対応でPCでも使える (2026年10月10日)
  4. スマホの「実質価格」高騰の恐れ、iPhone 18 Proは2倍高く? 総務省の残価設定ルール厳格化は“誰のため”か (2026年10月10日)
  5. 10月1日から楽天モバイルの「au 4G LTEエリアローミング」が縮小も意外と残っている件 (2026年10月10日)
  6. 楽天モバイル、KDDIローミングが大幅に縮小――ユーザーに対する説明責任はないのか (2026年10月11日)
  7. POCO F9 Ultraのベースモデル「REDMI K100 Pro Max」はバッテリー容量とカラバリに違いがある (2026年10月11日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. 【ワークマン】4900円の「アーバンライトバックパック」 豊富なポケットやナスカン&バックル付き (2026年10月11日)
  10. 「iPhone 18 Pro Max」を試して分かった進化と課題 想像以上に“使えた”可変絞り搭載カメラ (2026年10月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー