ギガホやahamoといった中・大容量プランが条件になっていることからも分かるように、ドコモの狙いは、こうした料金プランをより拡大するところにあるといえそうだ。ドコモの執行役員 営業本部長の野田浩人氏は、「年々データ容量は増加傾向にあり、中・大容量のお客さまもどんどん増えている」としつつ、「データはデジタルエンタテイメントのためにご利用いただいている」と語った。逆にいえば、こうしたサービスの契約者が増えれば、中・大容量プランを拡大する余地も拡大する。
MWC Barcelonaで取材に応じたドコモの代表取締役社長、井伊基之氏も若い世代は「映像コンテンツへのアクセスが伸びている」と指摘しつつ、「そこで大容量が使えないと話にならない」と語る(関連記事)。「映像コンテンツの進展が、データの使用量を増やしている」というのが井伊氏の考えだ。井伊氏が念頭に置いていたのは、どちらかと言うと広告モデルで運営するYouTubeの無料コンテンツだが、有料サービスの裾野を広げることも重要になる。dポイントの還元をトリガーにすることで、その一翼をドコモが担えるというわけだ。
サービスを提供する事業者にとっては、販路の拡大を見込める。店舗数の削減方針を打ち出しているが、ドコモショップは現状で約2300店舗と数が多く、リアルな場でその魅力を訴求できるのは魅力といえる。新たにドコモが取り扱うことになったNetflixのビジネス・デベロップメント部門 ディレクターの下井昌人氏も、今回の取り組みについて「『爆アゲ セレクション』を通して、Netflixをより多くの視聴者の皆さまにNetflix作品をお届けすることを目指す」とコメントしている。
また直接的には語られていないが、コンテンツなど、通信以外のサービスがセットになると、副次的な効果として解約率の低下にもつながる。光回線や電気といった非通信のサービスをプッシュしているのは、こうした効果もあるからだ。実際、通信の料金プランとコンテンツサービスをいち早くバンドルしたKDDIは、「Netflixパック」の解約率が通信を単独で提供する通常の料金プランよりも低いことにたびたび言及している。
auのパックプランは、データ容量が無制限の「使い放題MAX」とNetflixのようなコンテンツサービスが完全に一体になっているため、それらを自由に選択できる爆アゲ セレクションに同程度の効果があるのかは未知数だ。一方で、ユーザー視点では、通信回線の解約と同時にポイント還元を受けられなくなるのはデメリットになる。解約後にコンテンツサービスを個別に契約し直すのも、やや手間がかかる。その意味で、爆アゲ セレクションも解約率低減には一定の効果がありそうだ。
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