こうしたサービスは、日本だけの専売特許ではなく、グローバルでもキャリアの主な業務になりつつある。エリクソンは、2022年11月に発表した「エリクソンモビリティレポート」で、コンテンツのセット販売が世界各国のキャリアでトレンドになっていることを報告。同レポートを解説したエリクソン・ジャパンのCTO、藤岡雅宣氏も「コンテンツアグリゲーターとして、バンドル販売が主流になっている」と語っている。
実際、ドコモはコンテンツサービスのセット販売では後発だ。先に挙げたKDDIは2018年からNetflixパックを展開しており、約5年の間にバンドルするコンテンツを拡大してきた。今ではNetflixだけでなく、「Apple Music」や「Amazonプライム」「GeForce NOW」といった海外のサービスまで含めた「使い放題MAX 5G ALL STARパック」に加え、国内の放送局が運営する動画配信サービスをまとめた「使い放題MAX 5G テレビパック」まで用意している。
ソフトバンクも、2021年に開始した回線契約者向けのサービス「ソフトバンクプレミアム」に、「エンタメ特典」がある。エンタメ特典は、対象サービスを契約すると、その10〜20%をPayPayボーナスとして受け取れるというもの。仕組みだけでなく、還元率も爆アゲ セレクションに近い。当初はNetflixやDAZN、「ABEMA」など計6サービスで始まったエンタメ特典だが、その後GeForce NOWや「SPOTV NOW」や「ベースボールLIVE」が加わり、現在では8サービスまでラインアップが拡大している。
ソフトバンクのエンタメ特典は、対象の料金プランが「メリハリ無制限」だけでなく、段階制プランの「ミニフィットプラン+」や、ケータイからの移行の受け皿となる「スマホデビュープラン+」まで含まれている。その意味で、料金プランのアップセルより、キャリア決済の利用促進や回線の解約抑止の方が主目的といえそうだが、いずれにしても、コンテンツサービスとのセット提供をドコモより早く手掛けているのは確かだ。
KDDIやソフトバンクは先行している分、コンテンツの幅が広い。それらと比べてしまうと、ドコモの爆アゲ セレクションは、どうしてもラインアップが手薄に見えてしまう。サービス開始当初のためか、現時点では映像系サービスにフォーカスしているため、他社のように音楽のストリーミングサービスはYouTube Premiumだけにとどまっている。KDDIやソフトバンクはGeForce NOWを用意しているが、爆アゲ セレクションにはゲームも存在しない。
爆アゲ セレクションに用意された今の5サービスはあくまで「第1弾の5つ」(野田氏)で、今後もコンテンツは拡大していく方針だ。ただ、ドコモは後発であるがゆえに、その対応は急務といえる。Disney+やLeminoといった、ドコモにしかないサービスが選択肢に入っているのは魅力だが、このような独自性ももっと出していく必要がありそうだ。
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