「日本で前年比4倍成長」のNothing、次の一手は? au販路拡大と楽天の“すみ分け”に見るキャリア戦略(1/3 ページ)

» 2026年05月26日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
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 スタートアップとして設立され、2022年に初号機の「Nothing Phone (1)」を発売したNothing Technologyが、日本市場で急成長している。創業者のカール・ペイ氏がX(旧Twitter)上で明かした実績によると、2025年は2024年比で4倍に規模が拡大したという。2025年、楽天モバイルとパートナーシップを組み、リアルな店舗への進出を進めたことが奏功した格好だ。

 そんなNothingが新たに投入するのが、ミッドレンジモデルの「Nothing Phone (4a)」と「Nothing Phone (4a) Pro」の2機種だ。4aは2025年に投入された「Nothing Phone (3a)」の後継機だが、ミッドレンジ上位のProモデルを日本で発売するのは今回が初めて。さらに、4aはオープンマーケットモデルをそのまま取り扱うKDDIの「au Flex Style」での販売も始まり、さらに販路を広げている。

Phone (4a) Phone (4a) Pro Nothingの最新スマートフォン「Phone (4a) Pro」(左)と「Phone (4a)」(右)

 日本上陸から順調に規模を拡大しているNothingだが、ミッドレンジモデルのバリエーションを増やし、さらなる成長を狙う。では、どのようにそれを実現するのか。新たに投入するPhone (4a)、(4a) Proの位置付けや同社の日本における戦略を、Nothing Japanのマネージングディレクターを務める黒住吉郎氏に聞いた。

KDDIと組めたことが飛躍の一歩 約400店舗での販売網は大きい

―― 改めて、Nothing Phone (4a)と(4a) Proがどのような端末なのかを教えてください。

黒住氏 グローバルの視点で言うと、NothingはPhone (2a)でミドルレンジに攻め込みました。

 ただ、2aは競合と同じところには行ききれていなかった。それはカメラ性能などのスペック的なものも含めての話です。Phone (3a)は背面をトリプルカメラにして、チップセットも一気に底上げし、デザインエッセンスを生かしたままアップグレードすることで大成功しました。そこをいかに強くしていくかが、われわれの課題でした。

 強化するにあたって、グローバルにあったのがProモデルです。Proはカメラを強化したり、デザインを“プロっぽく”していたりします。今のお客さまも含めて、カラーバリエーションもしっかり持たせる形でユーザーを広げるのがPhone (4a)です。これに対し、Phone (4a) Proは(4a)をそのままプロっぽくするのではなく、新しいデザインランゲージにも挑戦しています。

 全面をアルミのユニボディーにする形でシースルーはカメラ周りだけになっていますし、カラーバリエーションにピンクをしっかり入れたのも今回やったことです。デザインの好みや使いたい機能、お値段で選べるものをそろえることができました。

Phone (4a) (4a) Pro Nothingの日本事業を率いる黒住吉郎氏

―― 日本にProを持ってくることで、ラインアップとして新味を出したということですね。

黒住氏 もう1つ、日本においては販売チャネルを(KDDIに)拡大したのが進化、変化になります。Phone (3a)を出した際に、楽天モバイルさんと戦略的パートナーシップを組み、非常に大きな成果がありました。当初は100店舗限定でしたが、今は1000店舗以上に増えています。

 その時に言ったのは、楽天モバイルさんのチャレンジングな姿勢とわれわれのチャレンジングな姿勢が合ったということです。楽天モバイルさんは、われわれの未熟なところも含めて、大きな視点で受け入れてくださったパートナーです。一方で、ドコモさん、KDDIさん、ソフトバンクさんのような以前からビジネスをやっていて、求めることが多く、かつ高い会社とはまだパートナーを組める実力値がありませんでした。その実力がつくまでは我慢するということも言っています。

 今回、KDDIさんと組むことができましたが、そのレベルまで行ったかというと、まだ行けてはいません。日本独自の仕様などに対応していくリソースもないので、オープンマーケット向けモデルの接続性など、最低限のテストをして提供しています。KDDIさんも、IOT(Inter-Operability Testing:接続性検証)で認証したものを販売するところに踏み出すというお話をしていたので、ぜひ一緒にやらせてくださいということになりました。

 大きなパートナーシップが組めることで、飛躍のきっかけになります。通常、オープンマーケット系の端末はオンラインに行きがちですが、今回のau Flex Styleは、一部店舗限定ながら、オフラインで販売する形になっています。au Styleやau直営店も含めて、店舗数は約400になります。

Phone (4a) auでも取り扱うPhone (4a)

―― au Styleと直営だけと聞いて、もう少し少ないと思っていたのですが、意外と広いですね。

黒住氏 直営店は数店舗ですが、au Styleだけで400店舗ぐらいあります。もちろん、SIMカードとのバンドルではないので、難しいところもあると思います。通常の端末とは部門も違いますが、そこは一歩踏み出せました。

Phone (4a) オープン市場向けとなるau Flex Styleでの取り扱いとなるが、auショップで販売されることのメリットは大きい

楽天モバイルは“カニバリ”が起きないようPhone (4a) Proを採用

―― 楽天モバイルとKDDIでは、狙っているユーザー層も違うのでしょうか。

黒住氏 ユーザー層が違うのと同時に、現実的な話をすると、楽天モバイルさんにはPhone (3a) Liteがあり、「CMF Phone 2 Pro」もあり、さらに、昨年のPhone (3a)も継続して販売しています。特にPhone (3a)から(4a)は、いわゆる正統進化です。そこに(4a)をかぶせてしまうと、カニバリゼーションを起こしてしまう可能性があります。そのため、早い段階から、ベストなのは昨年の3aを継続しつつ、Phone (4a) Proをその上に乗せていくのがいいとなりました。

 楽天モバイルさんにはフラグシップのPhone(3)もありますが、こちらも入れてから半年以上たちました。時間がたち、少しずつ力がなくなる中、セミフラグシップのようなPhone (4a) Proがそこにはまるのではないかと考えています。このように、(4a) Proであれば、大きな差別化できるというところがスタートになっています。

 ただ、われわれとしては、ベースモデルのPhone (4a)も展開したいと考えていました。KDDIさんとはタイミングよく決まりましたが、定期的に意見交換をさせていただいている中で、こういうことをやりたいというお話はいただいていました。

Phone (4a) Pro 楽天モバイルで扱うミッドハイのPhone (4a) Pro

―― なるほど。楽天モバイル内でのラインアップとのかぶりがないという点だと、その採用の仕方はよさそうですね。逆に、半透明のPhone (4a)は、何となくauにありそうな雰囲気もします。

黒住氏 昔からKDDIのことを知っている人間としても、このラインはフィットすると思っています。

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