画面が曲げられる折りたたみスマートフォンに続き、画面を巻き取ることのできるローラブルスマートフォンが数年以内に実用化されるかもしれません。2023年2月末にバルセロナで開催された「MWC Barcelona 2023」でレノボは、モトローラブランドのコンセプトモデル「rizr」を参考出展。自在に巻き取られる画面を見ているだけでもわくわくしてしまいます。
rizrのディスプレイサイズは5型。最近のスマートフォンとしては小ぶりですが、このまま手のひらにすっぽりと納まる大きさなので持ち運びも楽でしょう。縦折り式のスマートフォンを折りたたんだ状態に近い大きさともいえます。
本体横のボタンを押すと、モーターによって画面が上に伸びていきます。裏側に巻き取られていたディスプレイがモーターに寄り前面側に送られてくるわけです。これで画面サイズは6.5型となり、一般的なスマートフォンとほぼ同じ大きさになります。
なお、折りたたみスマートフォンにGalaxy Z Fold4のような「横折り式」と、Galaxy Z Flip4のような「縦折り式」の2種類があるように、ローラブルスマートフォンも横に画面が動く「OPPO X 2021」と、縦に画面が動くこのrizrの2種類があります。蛇足ですがサムスンは「折りたたみ+ローラブル」というかなり変態なディスプレイも開発中です。
ローラブルスマートフォンの必要性はさておき、自由に曲げられるディスプレイの開発は「紙」の代替として重要です。スマートフォンへのニーズは人それぞれですから、小さく縮んだり大きく伸びたり、というローラブルスマートフォンが実際に市場に出てきたら、それを欲しいと思う人は一定数いるでしょう。まだ製品が出ていない今の時期に「ローラブルはいるか、いらないか」なんて議論は無意味と筆者は思います。
そして折りたたみスマートフォンを初めて見たときのように、ローラブルスマートフォンの動きを実際に目の当たりにすると「なんだかすごい!」と感動してしまいます。折りたたみスマートフォンは自分の手で開閉する必要がありますが、ボタン1つで収縮するローラブルスマートフォンにはロマンを感じてしまいました。
本体から上に伸びてくるディスプレイはかなり薄く、強度が心配になります。そのためか、このデモ機はスタッフが動作を見せてくれるだけで、取材側が実機に触ることはできませんでした。ポケットの中に入れたときに誤操作が起きないようにするなど、製品化にはまだ課題は多そうです。
rizrは本体にカバーを付けており、下部のディスプレイの巻き取り部分はカバーで覆われています。この部分がむき出しのまま使える表面強度の高いディスプレイの実現は難しいでしょうから、このカバーはうまくできていると思います。
rizrの思わぬ副産物と言いますか、画面が巻き取られている部分は普段は背面側にあるので、これを裏側のサブディスプレイとして使うことも可能です。通知や着信も表示できるのでけっこう使いやすそうです。
見たいコンテンツに応じて画面サイズを自在・自動で変更できるなど、使い勝手もかなり考えられていました。rizrがこのまま発売されることはないでしょうが、ローラブルスマートフォンはぜひ出てきてほしいと思います。
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